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「自然公園法」 詳細解説

読み:
しぜんこうえんほう
英名:
Natural Parks Law

四方を海に囲まれ、多くの山々や森、河川、湖沼があり、四季の変化がある日本は、世界に類をみない自然に恵まれた国だ。この美しい自然を守るための法律として、1931年に国立公園法がつくられ、瀬戸内海、雲仙、霧島の3カ所が国立公園として指定されていた。国立公園法は、第2次世界大戦終了後の1949年に改正され、国立公園制度が導入された。同法はその後、米国の自然保護において大きな成果を上げていた国立公園制度を見習って、1957年に「自然公園法」へと発展、廃止された。

日本と米国の自然公園制度の一番大きな違いは、わが国の自然公園は米国のような公園専用地ではないところだ。その代わり、土地所有に関わらずすぐれた風致景観をもつ地域を公園に指定できる地域性自然公園制度を採用し、その地域内で自然や景観を損ねる行為を禁止・制限している。自然公園法に基づき指定される自然公園には、1) 国立公園、2) 国立公園、3) 都道府県立自然公園―がある。2009年11月現在、国立公園が29カ所、国立公園が56カ所、都道府県立自然公園が309カ所あり、これらをすべて合わせると国土の35.7%に及ぶ。

自然公園法は、公園の保護と利用を適正に行うため、公園ごとに公園計画を定めるとしている。公園計画には規制計画と事業計画があり、規制計画は公園を1) 特別保護地区、2) 第1種〜第3種特別地域、3) 海域公園地区、4) 普通地域―に分けて、立ち入りや利用に関する制限を行う。一方、事業計画は、公園の景観や生態系を守るためのもので、施設計画と生態系維持回復計画がある。このうち生態系維持回復計画は、2009年の本法改正で創設された。外来生物の移入による在来種をはじめとする生態系の被害や、シカやオニヒトデなどによる食害などが生じているか、予想される場合に、国や地方自治体、NPOなどが協力して対策をとるための計画だ。

21世紀に入り、本法について2回の大きな改正が行われた。2002年の改正では、主に次の規定が盛り込まれ、2003年に施行された。1) 国と地方自治体の責務に生物多様性の確保を追加、2) 特別地域・特別保護地区における規制を追加、3) 利用調整地区制度と風景地保護協定制度の創設、4) 公園管理団体制度の創設、5) 違法行為に対する是正措置を強化、6) 都道府県立自然公園条例に関する規定を拡充。

一方、2009年の改正では、前述の生態系維持回復事業以外にも次のような規定が整備され、2010年4月に施行された。1) 公園事業の執行、2) 特別地域内での行為規制の拡充、3) 海域公園地区の創設、4) 利用調整地区制度の見直し。

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