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「絶滅危惧種」 詳細解説

読み:
ぜつめつきぐしゅ
英名:
Endangered Species

すでに絶滅したり、絶滅寸前に追いやられたりした動植物の種のことを、絶滅危惧種という。地球上に出現した生物の9割以上が絶滅し、1975年から2000年の間だけで毎年4万種が絶滅したという説もある。その原因は、新しい土地への入植や人口の増加、開発、乱獲など、ほとんどが人間活動によるものだ。また、外来生物などにより在来種が駆逐されてしまうことも問題となっている。

国際的な自然保護機関である国際自然保護連合(IUCN)は、絶滅した種や絶滅のおそれがある動植物種をレッドリストにまとめ、保護を訴えている。2012年のIUCNレッドリストは、最も絶滅の恐れが高い絶滅危惧1A類(CR)、絶滅危惧1B類(EN)、絶滅危惧2類(VU)の3カテゴリーに、動植物を合わせて2万219種を記載している。

日本でも、環境省がIUCNの分類に準じてレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)を作成している。2013年2月の時点で、絶滅のおそれのある種としてレッドリストに掲載された種数は、動物と植物を合わせて3597種となっている。また、このリストを踏まえて、日本の絶滅のおそれのある野生生物の種についてそれらの生息状況を取りまとめたレッドデータブックを編集している。レッドデータブックは、2007年8月までに、爬虫類・両生類、哺乳類、汽水・淡水魚類、鳥類、昆虫類、甲殻類等、クモ形類・多足類等、植物1、植物2、貝類が刊行されている。

レッドデータブックは、絶滅危惧種を、絶滅危惧1類、絶滅危惧2類に分類している。絶滅危惧1類は、ごく近い将来絶滅の危険性の高い種である絶滅危惧1A類(CR)と、1A類ほどでないが近い将来に絶滅の危険性の高い種である絶滅危惧1B類(EN)に分けられる。絶滅危惧1A類には、千葉県(安房)を主に分布とするラン科の植物アワチドリや、温暖な地の広葉樹林の下に自生するカンラン、天然記念物のニホンカワウソ、推定生息数が100頭前後と推測されるツシマヤマネコなどが指定されている。絶滅危惧1B類としては、イヌワシ、ヤンバルクイナニホンウナギなどが指定されている。

絶滅危惧2類(VU)は、絶滅の危機が増大している種のことだ。エゾオコジョ、ゼニガタアザラシ、アホウドリ、イモリ、アオウミガメ、ゴマハゼ、アカスゲ、アオナガイトトンボなど多くの種にわたる。また、絶滅の危険度は小さいが、生息条件の変化によって絶滅危惧に移行する可能性のある種が準絶滅危惧種(NT)だ。アズマトガリネズミなどが指定されている。このほかに、評価のための情報が不足している種情報不足(DD)や、青森県のカンムリカイツブリのように地域的に孤立して絶滅のおそれが高い地域個体群(LP)がある。一方、わが国ですでに絶滅したと考えられる種を絶滅(EX)、飼育や栽培など自然分布域の外側で野生化した状態で存続している種のことを野生絶滅(EW)という。

絶滅危惧種に上げられている動植物種は、必ずしも法的に保護が義務づけられているわけではない。しかし、レッドリストに掲載されている種は自然の貴重さを示すものであり、これをもとに自然保護活動に結び付けていくことが重要だ。全国各地に絶滅危惧種を守る市民の会などがあり、保護活動を続けている。また、ツシマヤマネコを地域外の福岡県で飼育し、再び対馬に導入して繁殖させる計画もあり、2000年と2001年にはそれぞれメス1頭が誕生した。

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