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「フード・マイレージ」 詳細解説

読み:
ふーど・まいれーじ
英名:
Food Mileage

フード・マイレージは、輸入食料の総重量と輸送距離を乗じて数値化したもの。フード・マイレージが大きければ大きいほど、環境に負荷を与えていることになる。フード・マイレージの考え方は、1994年にイギリスの消費者運動家であるティム・ラング氏が提唱した「フード・マイルズ」(Food Miles)に基づいている。フード・マイルズは、生産地から食卓までの距離が短い食べ物を食べることにより、輸送に伴って発生する二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を少なくして、環境への負荷を小さくしようというものだ。日本では、2003年の環境白書でフード・マイレージが紹介された。また、なるべく近くで取れたものを食べようという点で、日本の「地産地消」に似ており、食料自給率の向上や、食育の推進などの面でも注目されている。

フード・マイレージの算出方法は、輸入相手国別の食料輸入量(t)に、輸出国から日本までの輸送距離(km)を乗じたものが、フード・マイレージ(t・km:トンキロメートル)となる。フード・マイレージが高い国ほど、環境に対して大きな負荷を与えていると推測される。2000年の輸入食料に関するフード・マイレージをみると、日本が1人あたり4000tkmであるのに対して、アメリカは500t・km、韓国でも3200t・kmだ。また、フード・マイレージを指標とすることで、輸送に伴うCO2排出量の傾向を把握することができる。農林水産省が2007年6月に策定した「農林水産省地球温暖化対策総合戦略」では、地球温暖化を防止するためにこれから取り組むべき課題として地産地消をあげており、その中で、日本と諸外国のフード・マイレージを試算して比較した結果を紹介している。それによると、日本の人口1人あたりのフード・マイレージは、イギリスの約2倍、ドイツ、フランスの3〜4倍、アメリカの約7倍で、わが国の食料供給構造が、長距離輸送を経た大量の輸入食料に依存していることがわかる。

一方、農林水産政策研究所の研究によると、フード・マイレージには日本国内における輸送の観点が含まれていないが、輸入過程だけでなく国内での食料輸送に伴うCO2排出量もかなりの量であるため、食料自給率を向上させれば環境負荷が減少するわけではないという課題がある。同研究は、今後、フード・マイレージの推進などによる食料輸送に伴う環境負荷の低減を検討する場合には、国内輸送の過程にも着目していくことが必要であると指摘している。

民間の取り組みとしては、環境省の2005年度地域共同実施排出抑制対策推進モデル事業に選ばれたフード・マイレージに関するキャンペーンは、消費者が小売店や宅配での食材購入や外食にあたって、フード・マイレージの観点から選択することを促すとともに、その手法をマニュアル化することで普及を目指す事業で、大地を守る会が中心となって展開した。また、木材の輸送エネルギーに関する指標として「ウッドマイルズ」があり、国内でその普及を目指す研究会も活動している。さらに、モノ全体を対象とした「グッズマイレージ」という考え方もある。フード・マイレージなどの指標や地産地消の考え方を参考にして、なるべく近くで取れたものを食べることは、食料自給率の向上や環境保全の上で望ましいといえよう。

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