
「ヤスのコラム」第14回 / 撮影=booro
神保町よしもと漫才劇場に所属し、「M-1グランプリ2023」では準決勝進出&敗者復活戦3位という結果で注目を浴びたお笑いコンビ・ナイチンゲールダンスのヤスさん。“尖り芸人”と呼ばれた過去もあるが、その素顔は「真っすぐで熱い男」だ。そんな彼が日々感じたことを書き綴る連載「ヤスのコラム」。
■「相手によって態度を変えてみよう」
ヤスです、割と好きに生きてます。その中で見つけた僕なりの人間関係のテクをご紹介します。
それは「相手によって態度を変えてみよう」です。
だめそー!!!!!!!!!!!誰でも分け隔てなく平等に接するほうが良さそー!!!!!!
分かります、先に注意ですが例えば好きな女の子とデートでデレデレしてんのに店員にはタメ口で文句撒き散らすとかそういう態度の変え方ではないです。
自分を真っ直ぐ持つために必要な態度の変化です。
僕も昔は誰にでも同じように接するのがなんか気持ちよさそうだし相手も気持ちよさそうと思ってました。大体芸歴1、2年目くらい。
僕は気が大きいので、どの先輩にも同じような態度でカマしてなんか気に食わないことがあれば言葉で制してというのをやってました。それで喧嘩になっても特に気にしませんでした。
まあぶっちゃけ未だにそのやり方でもいいんですけど、一緒に過ごすにつれて最初は気に食わなかったやつも「なんだこんな可愛いとこあんのかこいつ」と思う上の連中もいることに気づきだします。
そうなると、うーんと考えだします。
もしかして人間ってそんなに敵ばっかりじゃない?これが芸歴7年目くらい。
じゃあこの人たちとどう接しよう?
その時に昔なんかの大河ドラマかなんかで坂本龍馬かなんかが誰かしらに言ってたっぽい言葉をざっくり思い出しました。
「大きく叩けば大きく鳴り、小さく叩けば小さく鳴る」
これが僕のやりやすい人間関係かもと思いました。
例えば相手が懐の大きい成功者もしくは大成しそうな人、そういう現場の雰囲気の時は自分をいくらでも大きく表現して大丈夫だし僕を出せば出すほど面白がってくれます。
逆に相手が器の小さそうな人間、現場相手だと僕を出した後に自虐だったり情けない姿を見せたらすごく安心してくれます。人間ですね、人間くせえなこいつと思いながら見てます。
これが「大きく叩けば大きく鳴り、小さく叩けば小さく鳴る」の僕なりの解釈です。これってどっちも最初は自分を出しているので生きづらくなることもないですし、余計な衝突も減ります。
これをやり出してから昔はあんなに目障りだったやつらが急に人間らしく思えて笑えてきました。そりゃそうだよな、下のやつからカマされたらムカつくよなって。そうなると逆に懐深い成功者、もしくはこいつ大物になりそうだなってやつらが人間じゃなく思えてきてハテナが増えました。
なので、あなたがもし人間関係で自分の出し方に悩んでいたら相手によって態度を変えてみましょう。それは全然悪いことじゃないです。それであなたの個性が無くなることもないです。
そして仮に判断を誤って器大きそうなやつに自分を出してみたら意外と許されなくても、こいつ人間かいと笑っときましょう。
世の中なんか嫌なこと起きたら「お前人間すぎるだろ」で大体笑えます。チケット並んでて横入りされた時、お前人間すぎるだろ。と思えばなんか笑えます。人間すぎるやつって笑えます。
これが僕の見つけた「相手によって態度を変えてみよう」です。
最後に、1、2年目の僕みたいなやつが今入ってきたら僕はどう思うんだろうって考えたんですけど、なんかどうも思わなさそうという結論になりました。面白がるわけでも、ムカつくわけでもなく。そうだな、そうだな、と話を聞くだけになりそう。
てことは、結局僕は根っこはなにも変わってないんだと思います。メトロノームと全く同じテンポで弦を弾いたらメトロノームの音が聞こえなくなるように。