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「25%削減(地球温暖化対策)」 詳細解説

読み:
25%さくげん(ちきゅうおんだんかたいさく)
英名:
25 Percent Reduction in Greenhouse Gas Emissions

2009年9月22日、就任して間もない鳩山由紀夫総理大臣(当時)は、国連気候変動首脳会合において行った演説の中で、日本の温室効果ガス削減の中期目標について「2020年までに1990年比で25%削減することを目指す」と明言した。25%削減という数字は、鳩山総理が党首を務める民主党が大勝した衆議院議員選挙の際に公表されたマニフェストで政権公約として掲げられていた目標だ。この表明は、12月にデンマークで開かれる気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)に向けた日本のリーダーシップを示すものとして、同会合に出席していた国々の代表から称賛された。

2020年における温室効果ガスの削減目標である中期目標について、自民党政権時代の麻生前総理は同年6月に、2005年比で15%削減(1990年比では8%削減)とすることを表明していた。この目標は2005年比の削減率だけ見ればEUや米国などの先進緒国よりも高いものだったが、京都議定書の基準年である1990年比では8%の削減にとどまっていたため、国内外の環境派からはより踏み込んだ目標の設定を求める声が出ていた。25%削減という新たな中期目標は、政府が前の目標設定に先立って実施した意見募集の選択肢のうち最も厳しいものに近く、非常に高いものだ。

ただし、25%削減という新たな中期目標と前目標の間には、達成するための手法の上で大きな違いがある。前目標は数字上では一ケタ代にとどまっていたが、その内訳は省エネなど国内における努力を積み上げて算定された「真水」の目標で、前政権はこの点が意欲的であると自負していた。一方、鳩山総理は25%削減という中期目標を達成するために、国内排出量取引制度再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度、地球温暖化対策税(いわゆる環境税)など、「あらゆる政策を総動員して実現を目指していく」ことが必要であるとした。

また、25%削減を日本が国際社会に約束する前提として、世界の全主要国が参加する公平で実効性のある国際枠組みの構築と、意欲的な目標の合意をあげた。こうした条件を提示することで、世界全体の温室効果ガス排出量のそれぞれ約2割を占める米国と中国をはじめとする主要排出国の参加を促す狙いがあった。さらに、排出量取引については、国内だけでなく海外の制度との連携も視野に入れる方針を示した。同会合で鳩山総理は、25%削減という中期目標を示すとともに、途上国に対してこれまで以上に資金、技術の両面で支援を行う方針を「鳩山イニシアティブ」として提案した。

その後、政権の座が民主党から自民党に移り、25%削減目標の見直しが進められた。2013年11月、石原環境大臣はCOP19の場で、2020年の削減目標を2005年比で3.8%減とすると表明し、25%削減の目標は大幅に引き下げられた。

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