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「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」 詳細解説

読み:
せいぶつたようせいじょうやくだいじゅっかいていやくこくかいぎ
英名:
10th Conference of the Parties to the Convention on Biological Diversity (COP10)

1993年12月に発効した「生物の多様性に関する条約(生物多様性条約:CBD)」は、生物多様性を守り、遺伝資源を持続的に利用していくための国際的な枠組みだ。2010年6月現在で日本を含む192カ国と欧州連合(EU)が締結しているが、米国は締結していない。同条約の締約国が集まる生物多様性条約締約国会議(COP)は1994年にバハマで1回目が行われ、2008年にドイツで行われたCOP9でCOP10を愛知県名古屋市で行うことが決まった。COP10は2010年10月18日から29日にかけて同地で開催され、179の締約国と国際機関、NGO/NPOなど約1万3000人が参加した。

COP10の主な論点は次のとおり。1) 遺伝資源の採取・利用と利益配分(ABS)に関する国際的な枠組みの策定、2) 生物多様性が失われる速度を2010年までに減少させるための「2010年目標」の検証と新たな「ポスト2010年目標」の策定、3) その他。まず政府主催の閣僚級会合(ハイレベルセグメント)が行われ、菅総理大臣が途上国を支援する内容の「いのちの共生イニシアティブ」を表明。これと並行して行われた非公式閣僚級会合では、重要な課題についての政治的ガイダンスがまとめられ、議長である松本環境大臣から提示された。

ABSについては、遺伝資源の派生物や過去の利用への適用、ウイルスなどについて、資源を提供する国と利用する国の意見が対立した。しかし、日本が示した議長案を締約国が受け入れ、最終日に「名古屋議定書」として採択された。同議定書は生物多様性の保全と持続可能な利用を図るため、遺伝資源と関連する伝統的知識などの利用により生じた利益を企業などが公正に配分することを求めている。また、監視体制の確立や締約国による国内法の整備、途上国への多国間資金援助などに関する事項が定められた。

一方、新目標については、「愛知目標(愛知ターゲット)」が採択された。生物多様性の損失に歯止めをかけるため、2020年までに実効的で緊急の行動を起こすとするもので、2050年までの中長期目標も含まれている。ここでも愛知ターゲットを実現可能な目標にすべきとする途上国と、意欲的な目標を求めるEUとの間で意見が分かれたが、保護地域について陸域で17%、海域で10%とする目標をはじめ、20の個別目標が合意された。なお、これまでの2010年目標については一部を除き未達成であることが確認されている。

COP10ではこのほかにも、途上国への資金援助や「SATOYAMAイニシアティブ」など、生物多様性を守るためのさまざまな取り決めがなされた。また、COP10に先立ってカルタヘナ議定書第5回締約国会議(COP-MOP5)が行われ、「名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択された。遺伝子組み換え生物(LMO)が輸入先の国で生態系などに被害を与えた際の、原状回復や賠償などに関する事項を定めている。

COP10の会期中には約350のサイドイベントが催されたほか、「生物多様性交流フェア」も行われ12万人近い人が同地を訪れた。COP11とCOP-MOP6は、2012年10月にインドで開催される。

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