A: 名古屋市で2010年10月に開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、「名古屋議定書」や「愛知ターゲット」のほかに、次のことが決まった。1) 途上国の生物多様性を守るための資金の増加、2) 「SATOYAMAイニシアティブ」、3) バイオ燃料による生物多様性への負の影響を最小化、4) 農業の生物多様性に関する「水田決議」を歓迎、5) 海洋と沿岸の生物多様性に配慮した持続的な利用、6) 気候変動と生物多様性、7) 科学・技術協力と情報共有体制の構築、8) 世界植物保全戦略、9) 広報・教育・普及啓発(CEPA)と国際生物多様性年、10) 内陸水・山地・乾燥地・半湿潤地それぞれの生物多様性、11) 侵略的外来種に関する専門家グループの設置、12) 世界分類学イニシアティブ、13) 産業界など多様な主体との協力(ビジネスと生物多様性)、13) 生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の早期設立に向けた検討、14) 「国連生物多様性の10年」の呼びかけ、15) 2011・2012年の運営予算
A: 日本は生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)のホスト国として、対立が続いていた遺伝資源の提供国と利用国間の調整に尽力した。なかでも「名古屋議定書」の採択については、日本が提示した議長案を締約国が受け入れて合意に至った。このほかにもわが国は、1) 途上国における生物多様性保全を支援する20億ドルに及ぶ「いのちの共生イニシアティブ」、2) 10億円規模の「生物多様性日本基金」、3) 遺伝資源や森林の保全策―などの具体的な支援策を次々と打ち出し、各国から高い評価を得た。