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「酸性雨」 詳細解説

読み:
さんせいう
英名:
Acid Rain

酸性雨とは、pH(水素イオン濃度)が5.6以下の酸性の雨のこと。大気中の二酸化炭素が十分溶け込んだ場合のpHが5.6であるため、pH5.6以下を酸性雨の目安とする場合が多い。主な原因は、自動車の排気ガスや工場、発電所などで石油や石炭を燃やすときに発生する、二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOx)などである。これらの酸性物質が大気中で硫酸や硝酸に変わり、雨や雪、霧に溶け込んで降ってくる(湿性沈着)。また、ガス・エアロゾルとして直接地上に沈着する現象(乾性沈着)も含まれる。

酸性雨の影響はさまざまだ。土や湖沼を酸性にすることにより、森を衰退させたり、川や湖沼にすむ生物に被害を与えるといった自然への影響の他、コンクリートの成分のカルシウムを溶かして道路を傷めたり、大理石の彫刻などを溶かすなど、建造物や文化遺産への被害ももたらしている。

原因物質は、発生源から数千km離れた地域へも運ばれることがあるため、国境を越えた地球規模の環境問題の1つであり、各国が協力して取り組む必要がある。ヨーロッパでは、1979年に長距離越境大気汚染条約(ウィーン条約)が締結され、酸性雨の状況の監視・評価、酸性雨原因物質の排出削減対策などが進められている。世界気象機関(WMO:World Meteorological Organization)の全球大気監視(GAW:Global AtmospHere Watch)プロジェクトにより、ヨーロッパや北米を中心とする約300の観測点で降水の化学成分の測定が行われている。
酸性雨の被害は、北欧やドイツ、イギリスなどのヨーロッパ圏、北米などから始まり日本でも問題になっているが、工場の排煙対策や、自動車の排ガス規制の強化など、対策が進んでいる。これからは、急激な工業化とモータリゼーションが進む中国、東南アジアの対策が重要な大きな課題といわれている。

東アジア地域における酸性雨問題への取り組みの第一歩として、日本の環境省主導による東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET:Acid Deposition Monitoring Network in East Asia)が1998年に施行稼動をスタートさせた。2001年からは本格稼動となり、カンボジア、中国、ベトナムなど13カ国が参加(2007年1月現在)、東アジア地域の酸性雨調査・研究が進められている。

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