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「バイオガソリン」 詳細解説

読み:
ばいおがぞりん
英名:
Biogasoline

地球温暖化を防止するため、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスに関する排出削減義務などを定めた京都議定書では、植物を原料とするバイオ燃料の燃焼により排出されたCO2を温室効果ガス排出量として計上しないこととしている。成長過程で光合成によりCO2を吸収した植物は、ライフサイクル全体でみて大気中のCO2を増加させないので、収支はゼロであると考えられるためだ(カーボンニュートラル)。政府は「京都議定書目標達成計画」で、2010年度までにバイオエタノールを含む輸送用バイオ燃料を、原油換算で50万kl導入することを目指している。その実現のために、バイオ燃料を混ぜたガソリンの実用化が急がれている。日本では、大きく分けて2種類のバイオガソリンが導入されつつある。石油業界などが進めている「バイオガソリン(バイオETBE配合)」(以下「ETBE配合バイオガソリン」という)と、環境省などが推し進めている「バイオエタノール3%混合ガソリン(E3)」(以下「E3」という)だ。

2007年4月、首都圏のガソリンスタンドで、石油連盟など国内の石油業界が導入を進めているETBE配合バイオガソリンの販売が試験的に開始された。従来のレギュラーガソリンに、植物を原料の一つとするバイオETBEを配合したものだ。ETBEは「エチルターシャリーブチルエーテル」の略で、エタノールと石油系ガスの1種であるイソブテンを合成してできた添加剤。サトウキビやトウモロコシなどの植物資源を発酵させてできたバイオエタノールを使っているのでバイオETBEという。石油業界は、2010年に原油換算で21万klのETBE配合バイオガソリンを導入する予定だ。農林水産省は2007年10月、公用車17台を対象にETBE配合バイオガソリンを導入した。今後、出先機関を含めて全公用車を原則としてバイオ燃料に切り替えていくとしている。また、経済産業省も同じく公用車に導入した。

一方、環境省などが推進しているE3は、レギュラーガソリンに3%のバイオエタノールを直接混ぜたガソリン燃料だ。国内では、「揮発油等の品質の確保に関する法律」(品質確保法)に基づき、配合率が3%以内なら、エタノールをガソリンに混ぜて使うことができる。一方、海外では同様に10%やそれ以上混ぜたものが「E10」などと呼ばれ使われており、環境省では、E3など環境に優しい燃料をまとめて「エコ燃料」と呼んでいる。同省は2007年10月、「エコ燃料実用化地域システム実証事業」を大阪府への委託により開始した。大都市圏でE3による自立的なエコ燃料生産・利用システムが成立するかどうかを実証するのが主な目的だ。また、同年11月には東京の新宿御苑で、政府公用車を対象にしたE3の供給が始まった。

このように、国内のバイオガソリン事情は二極化している。石油連盟は、ETBE配合バイオガソリンはJISや品質確保法などで定められた規格に合致しており、従来のレギュラーガソリンと同じ方法で取り扱うことができる利点があるとしている。一方、環境省がE3を推し進めるのは、混合率を増やすことで、バイオ燃料の普及に弾みがつくとの考えに基づく。同省の報告によると、海外でのエタノール混合ガソリンの導入状況は、混合率でみると5〜10%程度の混合率を採用している国が多い。また、E10までなら既存のガソリン車の技術を大幅に変更することなく使用できるとして、普及に向けたシナリオを描いている。今後、ETBE配合バイオガソリンやE3(E10)などのバイオガソリンが普及するためには、1) 原料となるバイオエタノールの確保、2) 自動車、とくにすでに販売された車両の改良、3) 製油所や油槽所、給油所など燃料供給側での対応、などが必要となる。また、バイオエタノールの配合率を3%より高くするには法改正が必要であり、関連の法制度の整備も重要だ。

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