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「バイオエタノール」 詳細解説

読み:
ばいおえたのーる
英名:
Bioethanol

バイオエタノールは、植物資源をアルコール発酵させてできるエチルアルコールだ。天然ガスや石油などの化石燃料からつくる合成エタノールと区別してこう呼ばれる。植物は、大気中から二酸化炭素(CO2)を吸収する光合成を行って成長するため、燃やしてCO2を排出しても、大気中のCO2総量は増えない「カーボンニュートラル」とみなされる。京都議定書では、バイオエタノール利用によるCO2排出は、排出量としてカウントされないことになっており、ガソリンに混ぜて自動車用燃料として使用すればCO2削減につながる。

バイオエタノールの普及にあたっては、ほぼ100%を石油に依存してきた運輸部門の石油依存度を低減することが重要だ。経済産業省の石油政策小委員会は2006年5月、今後の石油政策のあり方に関する提言を公表した。その中で、2010年度までに原油換算で21万klのバイオエタノールを導入することや、当時3%だったバイオエタノールの混合率上限を、2020年頃を目途に、10%程度まで引き上げるための対応を自動車産業界に促す提言を行った。

政府は、2008年7月に閣議決定した「低炭素社会づくり行動計画」の中で、バイオエタノールの生産と輸送用燃料への利用を図る方針を示した。また、環境省の検討会が2009年2月にまとめた「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策について」で、再生可能エネルギー燃料政策について、輸送用バイオ燃料などの普及拡大を地域特性に応じて進めていくことを提言。燃料としてガソリンにバイオエタノールを3%まで混合した現行の「E3」を、同じく10%まで混合したより「E10」にするなど、バイオ燃料を高濃度で利用することのできる環境整備を進めていくべきであるとした。

その後、環境省の中央環境審議会による2010年の「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について 第10次答申」を受けて、2012年4月からE10等対応ガソリン自動車の排出ガス規制と、燃料規格に関する自動車燃料品質規制が開始された。ここでいう「E10等」とは、E10とエチルターシャリーブチルエーテル22体積%混合ガソリン(ETBE22)を合わせたものだ。これにより、E10対応ガソリン車に限定してE10を販売することができるようになった。E10等対応ガソリン車の排出ガス量は現行ガソリン車の排出ガス規制に適合させなくてはならず、含酸素分を3.7質量%以下にする必要がある。

植物資源を原料とするバイオエタノールは、化石燃料のようにすぐに枯渇する心配はない。その一方で、食料や飼料として利用できる作物を原料にすると、食とエネルギーの間で資源配分のバランスが崩れ、争奪戦が起きるという問題がある。バイオエタノールやバイオガソリンバイオディーゼル(BDF)などのバイオ燃料の普及にあたっては、環境や食料へのいっそうの配慮が求められる。こうした中、廃木材など食料と競合しない原料が注目されている。また、藻類を活用したバイオエタノール生産技術の開発が始まっており、2012年7月の「日本再生戦略」でも言及されている。

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