A: バイオエタノールは、植物資源をアルコール発酵させて作るエチルアルコールだ。大気中から二酸化炭素(CO2)を吸収する光合成を行って成長するため、燃焼によってCO2を排出しても、大気中のCO2総量は増えない。このため、京都議定書では、バイオエタノール利用によるCO2排出はカウントされないことになっており、ガソリンに混ぜて自動車用燃料として使用すれば、CO2削減につながる。その利用法としては、主に次の2つがある。1つは、バイオエタノールをガソリンと直接混合する方法で、日本では体積量で3%までのバイオエタノールをガソリンと混合することが可能だ。これを「E3」という。国は、混合割合を10%まで引き上げる「E10」の早期導入をめざしている。もう1つは、バイオエタノールと、石油製造過程の副生物であるイソブテンからETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)を製造し、ガソリンと混合する方法だ。日本では、体積量で7%までのETBE(エタノール3%相当分)をガソリンと混合することが可能だ。
A: 世界におけるバイオエタノール生産量のトップはアメリカで、これにブラジルが続く。ブラジルでは主にサトウキビを原料としており、全生産量のうち約半分がバイオエタノール向けだ。2010年から2020年の10年間で、バイオエタノールの生産量はさらに増加するとみられている。しかし、食料や飼料として利用できる作物をバイオエタノールの原料とすると、食料市場を圧迫する危険性がある。2007年に起きた食料価格の急騰は、食とエネルギー資源の競合が引き起こしたものだ。原料生産のために森林を開拓する国もある。バイオ燃料の利用にあたっては、環境や食料への配慮が必要だ。