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「国連持続可能な開発のための教育の10年」 詳細解説

読み:
こくれんじぞくかのうなかいはつのためのきょういくのじゅうねん
英名:
United Nations Decade of Education for Sustainable Development:UNDESD

持続可能な開発は、環境と開発は相反するものではなく共存し得るもので、開発を行う際には環境保全を考慮することが重要であるという考え方だ。UNEP(国連環境計画)や環境NGOなどが、1980年代に提唱した。環境と開発に関する世界委員会が1987年に公表した報告書で取り上げ、1992年にブラジル・リオで開催された地球サミットで再認識された。その後、国連持続可能な開発委員会(CSD)などで議論が進められた。

国連は、持続可能な開発の推進には、あらゆる国や地域で基礎教育、高等教育、教員教育、環境教育を充実させることが重要であると認識している。そのため、2002年の第57回総会で、2005年から2014年までを「持続可能な開発のための教育(ESD)のための10年」にすると決議した。当時、日本でも事業者や国民による環境教育への取り組みが盛んになり、旧「環境保全活動・環境教育推進法」が2003年に制定された。旧法はその後、ESDの10年などの動きを受けて、環境教育等促進法に全面改正された。

ESDの10年は、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が先導して実施している。2005年に国際実施計画が策定され、日本は2006年に国内実施計画を定めた。国内実施計画は2011年に改訂され、ESD の「見える化」や「つながる化」を推進することなどが追加された。国内でのESDの推進主体は、2003年発足の認定NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J)だ。環境・教育関連NGO/NPOの横断的組織として、ネットワーク化や、全国各地でのESDの普及推進、政策提言などに取り組んでいる。

ESDは、国際協力や貧困、社会福祉、まちづくり、ジェンダーなど広範な分野を対象としている。また、ESDが実施される場は学校などの教育機関だけでなく、地域や社会全体で取り組むべきものだ。一方で、日本で行われてきた環境教育は自然環境などに関するものが主流で、学校での取り組みも日が浅い。新しい概念であるESDが普及することで、持続可能性や、環境と開発の関係、公正な社会のあり方などに関する市民の認識が深まることが期待される。

2014年11月には、ESD世界会議が名古屋市で開催される。各国による10年間の取り組みの成果を振り返るとともに、2014年以降の方策について議論する。そして、ESDの10年に続くESDプログラムの枠組みとなる、「ESDアジェンダ」を策定する予定だ。

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