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「環境教育」 詳細解説

読み:
かんきょうきょういく
英名:
Environmental Education

環境問題を解決するためには、社会全体が環境配慮型の経済システムに移行することが必要である。そのためには、社会の中で大きな位置を占める行政や企業の取り組みはもちろんのこと、私たち一人ひとりのライフスタイルの変革が求められてくる。そのために重視されているのが、環境教育だ。子どもから大人まで、学校や地域、家庭、企業などそれぞれの場で、環境問題を知識として理解するだけでなく、実際の体験を通して、環境の中で生き、その恵みで生活していることを実感し、自然を大切に思う心を育てること、そしてまた、私たちの活動による環境負荷が、地域や地球の環境に影響を及ぼしていることを理解し、環境を守っていくために行動していく人材を育てることが環境教育の大きな目標となっている。

「環境教育」という用語が公の場で初めて使われたのは、1948年の国際自然保護連合(ICUN)の設立総会であるといわれている。環境問題の深刻化とともに、1972年の国連人間環境会議や、1992年の国連開発環境会議(地球サミット)などで、環境教育の重要性が提唱された。近年は、環境問題はもちろんのこと、さまざまな課題を総合的にとらえ、環境・経済・社会のバランスが取れた「持続可能な社会」を目指すための教育、「持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)」の重要性が認識され、国際的な取り組みが位置づけられている。2002年に南アフリカ共和国のヨハネスブルグで開催された、国連主催の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」では、持続可能な開発のための教育のあり方について検討され、これを受けた第57回国連総会決議により、2005年1月1日から始まる10年を「国連持続可能な開発のための教育の10年(教育の10年)」と宣言することが決議された。

日本では、長い間、学習指導要領に環境教育に関する事項は明記されておらず、国に専門の部署もなかった。そのため、小中学校や高等学校、またはそこで働く教師が、カリキュラムの中で工夫しながら、あるいは自分の時間を使って環境教育を実践していた。こうした状況に一石を投じたのが、1986年に環境庁(当時)に設置された環境教育懇談会であり、そこでは環境教育の理念や課題が論議された。

環境教育を求める教育者や市民の要望を背景の一つとして、文部科学省は学習指導要領を改訂し、「総合的な学習の時間(総合学習)」を設けることにした。総合学習は、学校の授業を、地域や学校、子どもたちの実態に応じて創意工夫を生かした特色ある教育活動が行える時間であり、環境、国際理解、情報、福祉・健康など従来の教科をまたがるような課題に関する学習を行うことができる。小・中学校においては2002年度、高等学校においては2003年度から、学年進行で本格的に実施されている。

一方、環境教育に関する法律としては、1994年に制定された環境基本法では、環境教育の重要性が明記されている。また、教育の10年に対応するため、従来からあった環境教育の総合法制に関する議論が再燃し、「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(環境保全活動・環境教育推進法)」が、2003年7月に制定された。地球温暖化や廃棄物問題、身近な自然の減少などの環境問題を解決し、持続可能な社会をつくっていくために、行政だけでなく国民や事業者、NGO/NPOなどが環境保全活動に取り組むことが必要であることから、環境教育を推進し、環境の保全についての国民一人ひとりの意欲を高めていくことなどを目的としている。

同法では環境教育について、「環境の保全についての理解を深めるために行われる環境の保全に関する教育及び学習」と定義されている。また、学校での環境教育に対する国などの支援や、職場における環境保全の意欲の増進及び環境教育、人材認定等事業登録などの事項が定められている。さらに、同法に基づき策定された基本方針には、さまざまな個人や団体が、自発的に環境保全に取り組み、その輪が広がる環境をつくることや、環境やいのちを大切にし、具体的行動をとる人材をつくることの重要性、自発性の尊重、役割分担・連携等への配慮などが基本的な考え方として盛り込まれている。

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