オゾン層の破壊や、地球温暖化を引き起こす化学物質の総称。代表的なフロンガスであるクロロフルオロカーボン(CFC)は、無色、無臭、不燃性で化学的に安定している優れた特性のため、エアコンや冷蔵庫の冷媒、電子部品の洗浄、発泡スチロールの発泡材、スプレーなど幅広い用途に使われた。しかし、1970年代に入り、大気中へ放出されたフロンガスが有害な紫外線を吸収するオゾン層を破壊することがわかり、1992年11月に開催されたモントリオール議定書締約国会議で、CFCをはじめとするオゾン層破壊物質が特定フロンとして指定され、全廃されることとなった。
特定フロンの全廃を受けて、代わりに使われるようになったのが、オゾン層を壊さない代替フロンだ。しかし、代替フロンが地球温暖化を進める強力な温室効果ガスであることが分かり、温暖化防止の国際的な枠組みである京都議定書で削減が義務づけられた。なかでも、代替フロンとして冷媒用途での使用が増加しているハイドロフルオロカーボン(HFC)は大きな温室効果をもつ。国内では、フロン回収・破壊法や自動車リサイクル法により、フロンガスの回収と破壊が義務づけられている。しかし、フロンガスは10年以上かけて成層圏へ到達するため、現在でも、オゾン層の破壊は進んでいる。