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家庭菜園「有機・無農薬栽培」の基礎について

  • 2020年9月15日
  • NUKUMORE

自宅で野菜作りをする際に知っておきたい役立つ情報をお届け!ここでは「有機栽培」と「無農薬栽培」について、各用語の説明や育て方のコツ・ポイントを写真付きで解説していいます。基本情報を理解して、体に安心、安全な野菜づくりを目指しましょう!

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有機・無農薬栽培とは?

「有機栽培」とは、堆肥で土づくりをし、有機質肥料を与えて野菜を育てる栽培方法です。「オーガニック」ともいいます。
「無農薬栽培」とは、野菜が育つまでいっさい農薬を使用しない栽培方法のこと。農業では、それぞれ厳密な条件が定められていますが、家庭菜園の場合は、「農薬、化成肥料などの無機質肥料を使わない」「堆肥、有機質肥料で育てる」を基本にしてチャレンジしてみましょう。 organic-78920_960_720_1600052667

有機・無農薬栽培のポイント

①よい土をつくる

よい土は野菜づくりの基本です。まずは浅くても20cm、できれば30~40cmを目標に深めにしっかりと耕します。石や雑草が出てきたらとりのぞきましょう。
その後、酸度調整のための石灰、土壌改良剤としての完熟堆肥を全体にまいて耕します。さらに有機質肥料(元肥)を加えて耕します。 ★有機・無農薬栽培に向く、よい土の条件 1.水はけ、水もち、通気性がよい
→土にもみ殻やくん炭をすき込む。
→水はけをよくしたいときは、畝を高くする。
→水もちをよくしたいときは、畝を低くする。
軽く握るとかたまりになって、押すとすぐに崩れる土は、水はけ、水もちのバランスがよい。 K27_p120_flow_1_1600050533 2.黒っぽくてフカフカしている
→腐葉土など、植物ベースの有機堆肥を土にすき込む。
→天地返しをする。
小石や枝を取り除き、有機堆肥をしっかりすき込んだ土。 K27_p120_flow_2_1600050551 3.弱酸性である
→酸性に傾けるには堆肥や肥料を与える。
→酸性を弱めるには、石灰、草木灰をまく。
土の酸度を抑えたいときは、有機石灰や草木灰をまいてすき込む。 K27_p120_flow_3_1600050570 4.有機物を多く含んでいる
→有機堆肥、有機質肥料を土にすき込む。
土を弱酸性に整えてから、腐葉土などの有機堆肥を土にすき込み、有機質肥料を施す。 K27_p120_flow_4_1600050586

②適切な環境で育てる

日当たりを好む野菜ならば日の当たる場所で、強い日差しを嫌う野菜ならば、適度に日差しがさえぎられる明るい場所で育てるなど、その野菜にとって適切な環境で育てることが大切です。
また、成長したときの大きさを考えて株間を十分にあける、他の植物と混み合いそうなら少し離れた場所に植えるなど、風通しも考えましょう。

★野菜と日当たりの関係
■強い光を好む:オクラ、カボチャ、キュウリ、ジャガイモ、トウモロコシ、トマト、ナス、ニガウリ、ピーマン、ニンジンなど
■弱い光でも育つ:ネギ、キャベツ、コマツナ、ソラマメ、ハクサイ、ホウレンソウなど

③適切な時期に育てる

それぞれの野菜には発芽や生育に適した温度があります。種袋や苗のラベルなどに記載されている、まきどき、植えどきの時期を守りましょう。
また、春と秋のどちらの季節でもスタートが可能な葉物野菜は、秋スタートしたほうが病害虫の発生が低くなります。

★野菜と成育適温
■高温を好む(25~30℃):オクラ、ナス、ニガウリ、ピーマンなど
■やや高温を好む(20~24℃):エダマメ、カボチャ、キュウリ、トマト、タマネギなど
■やや低温を好む(14~19℃):カブ、シュンギク、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリーなど
※品種によって異なる場合もあるので、種袋などに書かれている情報を確認してください。

④管理する

葉裏にアブラムシがついていないか、枝が混み合って風通しが悪くなっていないか、水は足りているかなど、こまめに様子をチェックすることが大切です。
また、アブラムシやアオムシなどの幼虫を予防する防虫ネットやマルチング資材、粘着シートなど病害虫対策グッズ、そばに植えるだけで病害虫を防ぐコンパニオンプランツなども活用しましょう。 K27_p120_flow_5_1600050813 野菜によってはアブラムシなどの害虫予防に、寒冷紗を直がけする方法も有効。べたがけと言われる。

⑤同じ土でつくり続けない

同じ場所で同じ野菜、同じ科の野菜をつくり続けると栄養分がかたよって育ちにくくなったり、病害虫が発生しやすくなったりします。これを「連作障害」といいます。
翌年も同じ野菜を育てる場合は場所を変える、天地返しをする、リサイクル土は別の野菜に使うなど配慮します。 K27_p120_flow_6_1600050858 前作の株や根をしっかり取り除いてから、堆肥や腐葉土で土壌改良するだけでも、連作障害のリスクを軽減できる。

有機・無農薬栽培に向く堆肥

堆肥は土の環境を整える資材です。落ち葉や刈り草、わらなどを堆積して発酵させた「落ち葉堆肥」が初心者でもつくりやすいうえ扱いやすく、おすすめです。落ち葉に含まれる植物繊維が、野菜づくりに向かない粘土質や砂っぽい土を、ふかふかの土に変えてくれます。
コンテナや狭い範囲の地植えであれば、市販の完熟堆肥を活用してもいいでしょう。

●落ち葉堆肥のつくり方

【材料】
・落ち葉(クヌギ、ケヤキ、ブナ、カエデ)
・刈り草(雑草の種のないもの)
・わら
・米ぬか
・鶏ふんなど 01 落ち葉、刈り草、わらを大量に集め、畑の隅などに30~40㎝程度積む。まわりは廃材などで囲む。 K27_p120_flow_7_1600050958 02 米ぬかや鶏ふんを上面にまき、全体を足でよく踏みつける。さらに畑の土を全体にかぶせる。 K27_p120_flow_8_1600050973 03 1~2を繰り返しながら何層かに積み上げたら、上から大量の水をかけ、足で踏んで全体をなじませる。その後、ブルーシートでおおう。 K27_p120_flow_9_1600050988 04 1カ月程度放置し、発酵で温度が上がってきたら、堆肥を下から上へ、内側から外側へと天地返しをする。乾燥していたら水を与え、再びブルーシートでおおう。1~2カ月ごとにこの作業を繰り返す。 K27_p120_flow_10_1600051001 完成!全体に黒っぽく、適度な湿り気があり温かく、嫌なにおいがしなければ完成です。
白いカビが生えている、キノコが生えている、虫がいるのも、堆肥が完成している証です。

※上記のようなプロセスを経なくても、落ち葉や刈り草を畑の隅に積み重ねておくだけでも堆肥はできます。ただし、時間はもっとかかります。 K27_p120_flow_11_1600051323

●堆肥のいろいろ

生ゴミ堆肥
キッチンから出た生ゴミを再利用する環境にやさしい堆肥です。コンポストを使います。
生ゴミは小さく刻んでおきます。コンポストを数㎝土に埋め、土と生ゴミを重ね、米ぬかやEM菌(発酵資材)かけると発酵がより進みます。 K27_p120_flow_12_1600051108 土中堆肥
畑の畝と畝の間に溝を掘って、落ち葉、雑草、生ゴミなどを入れ、土を戻します。十分に発酵したら堆肥として使用します K27_p120_flow_13_1600051350 40~60㎝ほどの穴を掘る。 K27_p120_flow_14_1600051370 堆肥の材料を入れ、しっかり踏み固めてから土を戻す。 雑草袋堆肥
除草で出た雑草、米ぬか、ラクトヒロックス※を袋に詰め、1年間放置すると堆肥ができます
※乳酸菌・酵母など10種類の有用微生物の働きで、土を団粒構造に変える土壌改良剤。

材料を袋に詰めたら口をひもでしばって日当たりのよいところに置く。 K27_p120_flow_15_1600051408 培養土って何?
園芸店などで市販されている「培養土」は排水性、通気性、保湿性など、植物にとってバランスのよい土になるようにあらかじめブレンドされた土のことです。土壌改良の必要がなく、すぐに野菜を植えることができます。プランターや狭い範囲で野菜を育てるのには便利です。

●堆肥に向く材料

■堆肥になりやすいもの
・落ち葉類/ケヤキ、カエデ、コナラ、クヌギ、ブナ、サクラ、プラタナスなど
・生ゴミ/野菜くず、卵の殻など
・雑草/種がついていないもの

■堆肥になるまで時間がかかるもの
・落ち葉類/マツ、スギ、イチョウ、ヒノキ、ササ、タイサンボクなど
・生ゴミ/魚、骨、残飯

■堆肥に向かないもの
・木の枝、繁殖力の強い雑草、肉類、ペットのふん、防カビ剤がついた果物の皮、病害虫に冒された植物

有機・無農薬栽培に向く肥料

堆肥は土をふかふかな状態にしますが、栄養はほんの少ししかありません。そこで肥料が必要になります。
有機質肥料には動物性と植物性があり、動物性の肥料ならば鶏ふん、骨粉など、植物性の肥料ならば油かす、草木灰などがあります。化成肥料と違い、効果は穏やかに現われるので、元肥として、種まきや植えつけの2~3週間前に土にたっぷり施します。

●代表的な有機質肥料

油かす 
ナタネなどの種から油を絞りとったもの。チッソを多く含む。 K27_p120_flow_16_1600051550 骨粉
家畜の骨を細かく砕いて乾燥された肥料。リン酸を多く含む K27_p120_flow_17_1600051563 鶏ふん
鶏のふんを発酵、乾燥させた肥料。リン酸をメインにチッソ、カリも含む。 K27_p120_flow_18_1600051585

●有機質肥料のいろいろ

油かす液肥
一般的な有機質肥料は効き目が穏やかで追肥には向きませんが、油かす液肥は効き目が早く追肥に向いています。水やりも兼ねて毎日使う場合は、大量の水で薄めます。 K27_p120_flow_19_1600051615 【油かす液肥のつくり方】
1.2Lのペットボトルに油かす200gを入れる。 K27_p120_flow_20_1600051656 2.発酵し臭いが弱くなったら上ずみ液を水で10~15倍に薄めて使う。 K27_p120_flow_21_1600051666 草木灰
水溶性カリを多く含み、有機質肥料の中では即効性が高い肥料です。特に根菜類におすすめです。市販のものもありますが、雑草などを利用して畑の隅などでつくることができます。 【草木灰つくり方】
1.雑草や野菜の残りをよく乾燥させる。畑の隅に石などで囲いをつくって燃やす。 K27_p120_flow_22_1600051727 2.白い煙が立ち上がっている状態を保てるように、雑草や野菜を様子を見ながら足していく。 K27_p120_flow_23_1600051744 3.黒い灰になる程度に燃えたら、水で薄めた酢をかけて鎮火する。 K27_p120_flow_24_1600051754 緑肥
刈り取ってから、または刈り取らずにそのまま耕して肥料にする植物のこと。種ができる前に肥料にするのがポイントです。よく根を張って土を耕すのと同じ効果を発揮したり、害虫の発生を防いだりします。 【緑肥として代表的なもの】

■マメ科
クローバー、レンゲ、クロタラリア、ヘアリーベッチなど
根粒菌との共生で、野菜の成育に欠かせない窒素成分を豊富に含んでいる。

■イネ科
トウモロコシ、ライ麦、小麦など
吸肥率が高く、土にすき込むと肥料としての効果がある。また、草丈が高いので、害虫よけ、風よけなどで利用されることも。成育後に刈り取ったワラは、マルチングにもなる。

■その他
マリーゴールド:虫よけ効果がある。ヒマワリ:植物繊維が豊富。葉もの野菜:チッソ過剰の土壌を改良する。 放置肥料
雑草や落ち葉などを隅に置いておくだけでできる肥料。時間はかかりますが、肥料効果は長持ちします。 K27_p120_flow_25_1600051846 ※除草した雑草は捨てないで片隅に積み重ねておく。 ぼかし肥って何?
有機質肥料を発酵させ、効果を穏やかにした(ボカした)肥料のこと。一般的な有機質肥料は未発酵なので追肥に不向きだが、ぼかし肥は元肥にも追肥にも使える。腐葉土、鶏フン、米ヌカ、生ゴミなどから手作りもできるが、市販のものを利用してもよい。

●コンパニオンプランツの組み合わせ例

K27_p120_flow_26_1600051988 ▲植物名:マリーゴールド
組み合わせ植物名:アブラナ科、ダイコン
効果:アブラナ科の害虫を遠ざける。根こぶセンチュウというダイコンの病気を予防する。 K27_p120_flow_27_1600052037 ▲植物名:バジル
組み合わせ植物名:アブラナ科
効果:アブラナ科に寄りつく害虫を遠ざける。 K27_p120_flow_28_1600052054 ▲植物名:チャイブ
組み合わせ植物名:ナス科、ウリ科
効果:根に生息する菌が、病気を発生させる菌を抑える。 K27_p120_flow_29_1600052069 ▲植物名:コリアンダー
組み合わせ植物名:あらゆる野菜
効果:アブラムシを予防する。
K27_p120_flow_30_1600052084 ▲植物名:キンセンカ
組み合わせ植物名:トマト、ニンジン
効果:トマトを食害するスズメガの幼虫、ニンジンにつくハエを遠ざける。 K27_p120_flow_31_1600052097 ▲植物名:タイム
組み合わせ植物名:あらゆる野菜
効果:アオムシやハエを遠ざけ、益虫を呼ぶ。 K27_p120_flow_32_1600052114 ▲植物名:ナスタチウム
組み合わせ植物名:キャベツ、ウリ科の野菜
効果:アブラムシやヘリカメムシ科の虫、カボチャにつく甲虫を遠ざける。 K27_p120_flow_33_1600052140 ▲植物名:ボリジ
組み合わせ植物名:ズッキーニ、トマト
効果:トマトを食害するスズメガの幼虫を遠ざける。ズッキーニの成長を促す。 K27_p120_flow_34_1600052154 ▲植物名:ミント
組み合わせ植物名:あらゆる野菜、キャベツ、トマト
効果:アブラムシを遠ざけ、キャベツ、トマトの風味をよくする K27_p120_flow_35_1600052168 ▲植物名:レモンバーム
組み合わせ植物名:トマト
効果:花がハチを招き、受粉を助ける。 K27_p120_flow_36_1600052186 ▲植物名:エダマメ
組み合わせ植物名:ニンジン
効果:チョウ類、カメムシを遠ざける。 K27_p120_flow_37_1600052205 ▲植物名:ヒマワリ
組み合わせ植物名:あらゆる野菜
効果:アブラムシを引き寄せる劣りになって、益虫であるテントウムシを招く。 K27_p120_flow_38_1600052218 ▲植物名:マメ科植物
空気中のチッソを取り込んで、土に補給する性質がある。 K27_p120_flow_39_1600052247 ▲植物名:イネ科植物
余分な肥料分を吸収し、地中にしっかりと根を張るので土壌改良の効果がある。

家庭菜園の基礎やレシピをもっと見たい方におすすめ!

「一坪でできる野菜づくり」では、今回紹介したレシピ以外にもたくさんの野菜作りの基礎やレシピをわかりやすく丁寧に紹介しております。 K27_book_1600052353

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