サイト内
ウェブ

企業はなぜSDGsに取り組むのか ~味の素株式会社の場合~ -第29回エコ×エネ・カフェ 前編-

  • 2018年11月13日
  • 緑のgoo編集部

【目次】
①:ゲスト紹介
②:味の素グループの目指す共通価値の創造 -ASV-
③:バイオサイクルによる資源の有効活用
④:海洋資源の持続可能な利用への貢献
⑤:食と栄養の改善への取り組み
⑥:今後取り組んでいきたいこと

食と栄養の改善への取り組み

室:途上国では、以前はガーナで乳幼児の離乳食にいれる「ココプラス」という栄養補給食品が注目されましたが、現在は味の素ファンデーションが行っています。ベトナムでは「学校給食プロジェクト」という、学校の栄養改善のプロジェクトに力をいれています。営業活動の一環としてベトナム給食の実態調査をしたところ、農村部は栄養不足、都市では肥満というような課題が発見されました。保護者もあまり栄養について知識を持っていなかったこともあって、行政と組んでベトナムの給食を改善しようと「ベトナム学校給食プロジェクト」を立ち上げ実施しています。

29th_ecoene-slides38

室:ここでは先ずメニューブックをつくり、野菜からビタミンやミネラルがとれて美味しいメニューを紹介して学校で配りました。地域によって味の好みが全く違うので、地域に合わせて4種類くらいつくり、実際の学校給食に活用してもらいます。また試食会を行い、保護者や行政の関係者にも食べてもらいました。いかに栄養が大事かということを、給食を通じてまず子どもから学んでもらう。子どもは家に帰って親にも話す。メニューは2016年からソフトウェアでも配っています。2019年度に給食のある学校すべてに導入することを目標にしています。学校に営業マンが回って、調味料やベトナム式醤油などの紹介も行なっています。ベトナムをモデルケースとして、他にも展開できるものをつくりたいと思っています。

29th_ecoene-slides42

森:営業の売り上げが上がったりもしているのですか?

室:多少はあがりました。事業にも直接関連して、社会課題としても、SDGsの目標2(飢餓)や3(健康)ともまさに結びついていると言えます。

ecoene-98

室:一社でできることは限られていますので、行政や研究機関、NGOらと連携して提携して進めています。

29th_ecoene-slides49

室:2016-7年には、 公益財団法人 味の素ファンデーションを設立しました。いま味の素ファンデーションが関わっているプロジェクトの一つが、ベトナム栄養関連制度創設プロジェクトです。2009年にベトナムの国立栄養研究所と共同でベトナム国民の栄養に関する共同研究を始めました。栄養や衛生管理に関する正しい知識を持った栄養のプロが必要だということで、ハノイ医科大学と提携して栄養学士養成講座をつくったんです。行政機関のメンバーを日本視察に招待するなどいろいろな活動が実を結んで、2015年にはベトナム政府が栄養士を職業として法律的にも承認しました。

29th_ecoene-slides44

森:社会価値と経済価値が重なるところがASVってことだと思いますが、矛盾することってないんですか?

室:そうですねえ…。どうしても、発酵の過程でCO2が出てしまうというのはありますね。

森:前回経団連の長澤さんが、ユニリーバのようなグローバル企業がSDGsに積極的に取り組んでいるという話がありました。味の素としても、グローバル企業だからこそ、世界で戦っていくためにはSDGsに取り組まなくては、というのはあるのですか?

室:そうですね。ユニリーバはSDGsの策定を推進してきたような会社ですから非常に進んでいますよね。そういう意味では、そういった企業にも追いついていきたいと思っています。

森: もっと、攻めていきたいと。

ecoene-116

室:サステナビリティについては、「攻める」というよりはむしろ、良いところを取り入れて進めていきたいと考えています。創業の時からそうであるように、社会課題を解決しながら事業をしていくことは大事なことですし、それは外せないことだと思いますね。

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

記事の無断転用は禁止です。必ず該当記事のURLをクリックできる状態でリンク掲載ください。