【目次】
①:ゲスト紹介
②:味の素グループの目指す共通価値の創造 -ASV-
③:バイオサイクルによる資源の有効活用
④:海洋資源の持続可能な利用への貢献
⑤:食と栄養の改善への取り組み
⑥:今後取り組んでいきたいこと
森: SDGsにつながる具体的な活動の中身をご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
室:今日は特に「環境への取り組み」、「生物多様性」、「途上国の支援」という視点からの取り組みを紹介しようと思います。
室:「味の素®」は実は、チーズやワインと同じように発酵の力でつくられているものなんです。植物由来の糖質を発酵菌の力を借りてグルタミン酸に変えているんですね。
室:世界各地、サトウキビやトウモロコシなど、それぞれの地域で入手しやすい農作物を原料につくっているのですが、これに関連してバイオサイクルによる環境負荷の低減というのを目指しています。例えばこの図にあるように、サトウキビから糖蜜ができ、それから「味の素®」を50万トンつくるのに、副生物が160万トンくらいでてきます。昔は廃棄することもありましたが、今はこれをコプロとして、有機質肥料に使うことで有効活用しています。これによって、必要な栄養もとれますし、化学肥料を7割減らすことができたことによって化学肥料をつくる際に出るCO2を削減することもできました。コプロは、インドネシアの田んぼやタイのひまわり農場、冷凍食品工場で使われるキャベツ畑など、いろいろなところで使われていて、農業支援にもつながっています。
室:国内でも同じような取り組みをしています。九州ではコプロを肥料として農業に活用することで農作物の甘さやうま味・甘み成分がアップしたというデータがあります。「九州力作野菜®」「九州力作果物®」というブランドをつくって販売することで、地元量販店、堆肥業者、契約農家が連携した誰もがメリットを受けるという取り組みが評価されています。廃棄物を減らし、再資源利用することで、99%以上、ほぼ100%が再利用されています。今はこの%の数値をコンマ何%分100%に近付けるよりもより価値があるものへの利用を目指しています。例えば廃棄物を燃料化から肥料化、さらには飼料化するなどです。
室:それから、実験段階ではありますが、原料に必要なアンモニアについて、従来は大量生産しかできなかったものを、低温低圧で小型プラントでつくれるようにするということを、東京工業大学と連携して進めています。これが実現すると、輸送コストや保管コストを抑え、CO2排出量の削減にもつながるということが期待されています。
室:再生可能エネルギーの利用比率を、2030年度までに50%にする目標を掲げています。海外ではサトウキビの搾りかすなどのバイオマスを燃料として使うことで、国内ではグリーン電力証書の購入などで進めています。
また、食品ロスについても取り組んでいます。日本で年間約1,700万トンの食品が捨てられていますが、一方で十分な食べものが手に入らない人たちがいる。こういった解決しなくてはならない問題があります。消費者の方に伝えていくことやエコに配慮した「エコうまレシピ®」を作って配信することをしています。