【目次】
①:ゲスト紹介
②:味の素グループの目指す共通価値の創造 -ASV-
③:バイオサイクルによる資源の有効活用
④:海洋資源の持続可能な利用への貢献
⑤:食と栄養の改善への取り組み
⑥:今後取り組んでいきたいこと
森:では、電力会社の視点から、J-POWERの藤木さんお願いします。
藤木:いろいろな話を聞かせていただきありがとうございました。J-POWERの場合、
発電設備の半分が再生可能エネルギーを使っていますが、半分は石炭を燃やして電気をつくっています。効率をあげて、いろいろ努力しながら少しずつ課題に取り組んでいるところです。味の素さんとしては、創業理念を大切にしていろいろな課題に取り組んでいらっしゃると思いますが、次に取り組んでみたいと思う課題があれば、教えていただけますか。
室:今後取り組んでいきたいことですが、やはり「食と栄養」というのが創業以来のテーマですので、そこがメインであることは変わりがないと考えています。また、貧しい国はたくさんありますので、ベトナムなどで行っていることを展開していきたいです。食は、ひとつの国でできたことをそのまま横に持っていってもうまくいかないものですので、各地で展開するにあたっては、それぞれ難しさがありますし、日々悩みながら進めています。食だけじゃなく、環境に優しいことも進めたいですね。アンモニアの生産技術やバイオマスエネルギーの普及もそうです。アミノ酸をつくるときの原料をなるべく効率的に使っていくとか、サトウキビなどの食べられない部分をいかに活用していくかとか、コストダウンにもつながり、環境負荷の低減にもつながるようなさまざまな取り組みを広めていきたいと思っています。
藤木:御社の場合は、CSVをベースにしたASVというものがベースにあって、SDGsができたことでそれを再確認することになったということだったと思いますが、ASVの普及を担当する部署はどこになるのですか?
室:経営企画とグローバルコミュニケーション部門です。ASVを元に研究部門も活動していますし、地域の特徴にそった活動も各地で生まれています。例えば愛知県では野菜をとる割合が全国一少ないというデータがありますので、名古屋支社の主導で「ラブベジ」というプロジェクトが始まりました。野菜にあった調味料を提案することで食の課題の解決にもつながっています。
藤木:まさに経済価値と、社会価値の両方を考えていくということですね。ASVができた当初は、どのようにして社内に浸透させたのでしょうか?
室:最初は「ASVセッション」と言って小さなワークショップを繰り返してグループ内のベストプラクティスなどを紹介していくという、地道な努力で広めていきました。最近は、ESG(環境、社会、ガバナンス)という視点もよくいわれてますが、これからこういう取り組みを始めていく会社は「SDGs」というキーワードを軸にすれば良いと思うんですね。
森:どうもありがとうございました。
第29回エコ×エネ・カフェの前編はゲストの室さんから「企業はなぜSDGsに取り組むのか ~味の素株式会社の場合~」について触れていきました。次回後編は「参加者のSDGsに対する考えはどう変わったのか?」です。全員参加のワールドカフェの様子をレポートしていきますのでご期待ください。