A: 環境省のレッドデータブックによると、日本で絶滅した動物は46種だ。哺乳類のなかでも代表的なのがニホンオオカミだ。1905年、最後のニホンオオカミが奈良県鷲家口(わしかぐち)で猟師によって捕らえられた。「ワシカグチオオカミ」と呼ばれ、大英博物館に仮剥製と頭骨がある。オランダのライデン王立博物館には、シーボルトが採集した剥製1体と頭骨2点が所蔵されている。日本国内には頭骨が20点以上あるというが、全身標本となると国立科学博物館に1体、東京大学農学部に1体、和歌山大学に1体と、計3体しか残っていない。
A: 野生動物を絶滅から救おうと力を入れるのは、単に「動物がいなくなってしまうと困るから」とか、「パンダはかわいいから」、といった理由ではない。人間が森林を伐採したり、海や川を汚染したりしたことによって自然破壊が進んでいき、動物たちの生息環境が危うくなるということは、人間という生物にとっても重要な自然環境が失われるということである。
一般に、動物が減少して500頭を下回ると、その動物の遺伝子の多様性が急速に失われてしまい、絶滅に近づくといわれる。種が絶滅していくと、これまで長い年月をかけてバランスを保ってきた、食物連鎖などの自然界の多様で絶妙なシステムが脆弱になってしまう。種の絶滅を防ぐことは、人間を含めた動植物の生存を支える、生物多様性を守ることにほかならない。