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「絶滅動物」 詳細解説

読み:
ぜつめつどうぶつ
英名:
Extinct Animal

絶滅動物とは、世界全体で、あるいは特定の地域において、何らかの理由で生存できなくなって途絶えてしまった動物種のことだ。生物の歴史は、発生、分化、絶滅を繰り返していて、これまでに数え切れないほどの種が絶滅してきた。その代表的な例が、約6500万年前の恐竜など大型爬虫類の大絶滅だ。しかし、このような自然原因による動物種の絶滅ではなく、近・現代においては人類の行為による大量絶滅が問題になっている。絶滅には、野生では絶滅しているが飼育下で生き残っている野生絶滅と、飼育下でも生存しなくなった絶滅とがある。

国際自然保護連合(IUCN)と世界資源研究所(WRI)の分析によると、1600年以降に絶滅した動物の原因を分析したところ、人間による生物の移入や乱獲、生息域の破壊を合わせると98%を占めた。しかも、絶滅のスピードが非常に速い。このような状況に対して、IUCNはその原因を調査するとともに、絶滅の危機に瀕している生物種をリストアップしたレッドリストをまとめて保護に役立てている。日本の環境省もこのレッドリストの評価基準をもとに独自のレッドリストやレッドデータブックを作成して、これ以上絶滅動物を増やさないための努力を続けている。

1973年に採択されたワシントン条約は、野生生物の国際取引を規制して絶滅危惧種の保護を図っている。また、種の絶滅を防ぐことにつながる生物多様性の保全のために、1992年に生物多様性条約が採択された。日本では、鳥獣保護法による野生生物の保護のほかに、ワシントン条約の採択を受けて種の保存法が制定され、希少野生動植物種の指定と個体の捕獲などの規制が行われている。また、生態系の破壊につながる外来生物を飼うことや、栽培、輸入することを規制する外来生物法もある。2008年には、生物多様性基本法が成立した。

最近の例では、日本原産のトキは、1981年に野生最後の5羽が捕獲され、この段階で野生のトキは絶滅して日本のレッドリストにおいて野生絶滅種になった。その後、数羽が佐渡のトキ保護センターで飼育されていたが、2003年10月に飼育していた最後のトキが死に、野生、飼育を含めて日本原種のトキはいなくなり絶滅種となった。一方、日中両国がトキの野生復帰に向けて協力することとなり、中国側がトキの個体を供与して繁殖協力と研究を行っている。このほか、日本固有種のニホンオオカミや宮古島固有種のミヤコショウビンなどが絶滅・野生絶滅したとされている。

すでに絶滅したと考えられていた動物が、復活した例もある。秋田県田沢湖に生息していたが絶滅したと考えられていたクニマスは、2010年に山梨県の西湖における生息が報告され、野生絶滅に見直された。本来の生息地では絶滅したものの、移植された場所で発見されたためだ。また、クローン技術やiPS細胞を活用して、絶滅種を復活させようとする研究もある。

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