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SOS! 四国のツキノワグマ

  • 2017年8月16日
  • NACS-J

環境省レッドリストで「絶滅のおそれのある地域個体群」とされている四国のツキノワグマ。このまま絶滅させないために、さまざまな関係者が連携し、生息環境の改善に向けた取り組みが始まっています。現地の状況を、四国自然史科学研究センターの山田孝樹さんに伺います。

四国のクマはわずか十数頭

 四国のツキノワグマ(以下、クマ)の現在の生息範囲は、剣山周辺の約500㎢と考えられ、主に標高1000m以上の落葉広葉樹林を利用しています。個体数は、1996年時点では50頭未満と推定されていましたが、過去10年間の確認個体数は十数頭に過ぎない状況で、現状を放置すれば、絶滅の危険性は極めて高いと考えられます。

ツキノワグマ
▲徳島県の山中に設置した捕獲檻の前で撮影されたツキノワグマ

 過去の生息範囲については資料が少なく詳細はよく分かっていませんが、私たちが確認した中で最も古い情報は1940年の分布図で、四国山地の東部と西部の2カ所で生息が確認されています。その後の1978年、2003年に環境省(78年時は環境庁)が実施した調査では、78年には40年ごろと同じく四国山地の東部と西部の2カ所で生息が確認されましたが、03年には四国山地東部でのみ生息が確認されています[図1]。
クマ分布
▲図1 1978年(第2回)と2003年(第6回)の自然環境保全基礎調査でのクマ分布域の比較。

 四国では古くから人により森が強度に利用されてきた歴史があります。江戸時代には既に奥山である石鎚山系や剣山系でも木材の伐採が行われ、明治時代からはスギやヒノキなどの植林が行われてきました。また、焼畑や採草目的の火入れなどが70年代ごろまで継続して行われてきました。こうした人の土地利用により、四国では古くからクマの生息状況があまり良好ではなかったと考えられます。そうした中、戦後の高度経済成長に伴い木材需要が高まり、林業が盛んになり拡大造林が推進されました。その結果、奥山に残された自然林もスギやヒノキなどの人工林に置き換わってしまい、クマの生息環境が急速に狭まりました。現在、四国の約74・4%が森林ですが、そのうち約60・7%が人工林です。
 また、四国ではクマ剥ぎによる林業被害を防ぐためクマの捕獲が奨励されてきました。昭和初期には捕獲に報奨金が出されており、74年には徳島県で1頭40万円の報奨金が出された新聞記事が残っています。捕獲数が最も多かった70年代には四国全域で60頭が捕獲されています。四国のクマは元々の生息基盤が脆弱であった中、拡大造林による生息環境の消失と害獣としての駆除により、現在の個体数まで個体群が縮小したと考えられています。

※四国山地の西部では1972年に愛媛県伊予市(旧中山町)、1985年に高知県津野町(旧葉山村)での捕獲記録が最後の確実な生息記録となっている。

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