緑のgooは2007年より、利用していただいて発生した収益の一部を環境保護を目的とする団体へ寄付してまいりました。
2017年度は、日本自然保護協会へ寄付させていただきます。
日本自然保護協会(NACS-J)の活動や自然環境保護に関する情報をお届けします。
豊かな自然を守りながら、自然と共生する暮らしが営まれている世界的な自然保護地域・ユネスコエコパーク。NACS-Jは、人と自然のより良いかかわりを生み出すため、1981年にユネスコエコパークのしくみが日本に導入された当時から、その推進に取り組んできました。近年再び注目が集まりつつあるユネスコエコパークの魅力をご紹介します!
▲【核心地域】夏の南アルプス、北岳から間ノ岳への稜線。核心地域だが、自然公園法に則した登山を心がければ、その雄大な自然を満喫できる。
今回は、南アルプス市ユネスコエコパーク推進室の廣瀨和弘さんにお話を伺いました。
南アルプスユネスコエコパークの最大の魅力は、3000m峰が連なる雄大な南アルプスの山々です。多くの動植物が生息し、山頂付近では2万年前ごろにつくられた氷河による地形が見られ、氷河期の生き残りとも言われるライチョウや固有種キタダケソウに出合えます。
深い谷はそれぞれに固有の文化圏をはぐくみました。農作物を荒らす獣を追い払い豊作を願うことから起こったと言われる川根本町の「徳山の盆踊り(鹿ん舞)」や、大鹿村の「大鹿歌舞伎」、飯田市遠山郷の「霜月祭り」などの民俗芸能・行事が、各地で今も受け継がれています。山の急斜面や昼夜の寒暖差、川から立ち上る朝霧などを活かした川根本町の「川根茶」や飯田市下栗の「赤石銘茶」、扇状地の特性を活かした南アルプス市の果樹栽培など、自然条件に合わせた多様な農業が営まれています。
▲【緩衝地域】櫛形山の原生林
▲【緩衝地域】レンゲツツジが咲き誇る6月ごろの甘利山
甘利山は、首都圏から近く日帰り登山も可能。自然観察会や保全活動などが行われている。
▲【移行地域】ハチノコやザザムシなどの昆虫食
伊那谷を中心に今も息づいている、ハチノコ(蜂の幼虫)やザザムシ(カワゲラ・トビゲラなど川の瀬にすむ水生昆虫)などの昆虫食。古くから、特に冬場の貴重なタンパク源として食べられてきた。
▲【移行地域】霜月祭りの様子
飯田市遠山郷の霜月祭り。年の瀬の12月、湯を煮えたぎらせて神々に捧げる「湯立神楽」は、映画『千と千尋の神隠し』のモチーフとなったと言われている。
出典:日本自然保護協会会報『自然保護』No.553より