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2017年度は、日本自然保護協会へ寄付させていただきます。
日本自然保護協会(NACS-J)の活動や自然環境保護に関する情報をお届けします。

[ユネスコエコパーク探訪ガイド]屋久島・口永良部島

  • 2017年7月12日
  • NACS-J

 豊かな自然を守りながら、自然と共生する暮らしが営まれている世界的な自然保護地域・ユネスコエコパーク。NACS-Jは、人と自然のより良いかかわりを生み出すため、1984年にユネスコエコパークのしくみが日本に導入された当時から、その推進に取り組んできました。近年再び注目が集まりつつあるユネスコエコパークの魅力をご紹介します!

P12 苔むす森
▲【緩衝地域】照葉樹林からヤクスギ林への移行帯に位置する白谷雲水峡の森。樹齢数千年を越えるスギのほか、大小さまざまな常緑樹に出合える。

火の島と水の島。黒潮がつなぐ自然と人「屋久島・口永良部島」

 今回は、屋久島町環境政策課の木原幸治さんにお話を伺いました。

地図 屋久島

 屋久島・口永良部島ユネスコエコパークでは、屋久島は周辺2km、口永良部島は周辺1kmの海域も含めて移行地域とされているのが大きな特徴。核心地域には、世界自然遺産の登録地が含まれる。

 黒潮の流れの中に位置し、海抜0mから標高約2000mの宮之浦岳山頂にかけて、垂直方向に植生の変化を体感できる屋久島。年間降水量が平地でも4000mm以上という豊富な水にはぐくまれた屋久島スギ原始林や広大な照葉樹林、北太平洋地域で最も高密度にアカウミガメが産卵に訪れる永田浜で、エコツアーなどを通じさまざまな自然と触れ合うことができます。今年4月からは屋久島公認ガイドの認定制度も開始しました。そして豊富な水を利用し、屋久島島内の消費電力はほぼ100%水力発電で賄っています。昨年5月の口永良部島新岳の噴火による避難指示は今年6月にほぼ解除され、ほとんどの住民が帰島し生活再建に取り組まれています。人身被害を出さなかった経験を活かし、火山との共生モデルも発信していきたいと考えています。

P12 岳参り
▲【核心地域】旧暦の5月と9月に行われる岳参り
集落の代表者が奥岳に祀られる祠に海・里の恵みである塩・米などを供え、豊漁豊作、家内安全などを祈願する。人の暮らしを支える、山と海と里との精神的なつながりの証として、各集落で引き継がれている。屋久島環境文化村センターでは、その模様を映像で紹介するほか、屋久島の人の暮らしと自然のかかわりの歴史をパネルなどで紹介している。

P12 ウミガメ
▲【移行地域】永田浜とウミガメ
ラムサール条約に登録されている屋久島永田浜には、5月~7月にかけて産卵のためにウミガメが上陸。地元永田区の住民とNPO法人屋久島ウミガメ館が連携し、地域ルールに基づいた産卵観察会(7月まで)などを行っている。星空の下で波の音を聞きながら、カメの上陸をそっと待つのも、屋久島らしい時間が流れている気がする。

P12 トビウオ揚げ
▲【移行地域】トビウオのから揚げ
漁業は沿岸漁業中心でサバ漁、トビウオ漁が4月~12月にかけて盛んに行われる。トビウオのから揚げや、サバのすきやきは屋久島での特別な食べ方。


NACS-Jユネスコエコパーク担当のワンポイント
19.只見朱宮さん
 朱宮丈晴 NACS-Jエコシステムマネジメント室
海域を含む唯一のユネスコエコパーク。山岳部は国立公園、森林生態系保護地域などで多重保護され、長期間の自然環境調査研究が蓄積されています。2013年から、これらの研究成果を研究者から住民へ伝え、住民は島の情報を研究者へ伝える「屋久島学ソサエティ」という学び合いの場がつくられ、問題解決に活かされています。自然だけでなく、岳参りなど歴史や文化の継承にも注目です。

~屋久島・口永良部島ユネスコエコパーク基本情報~

●含まれる自治体
 鹿児島県:屋久島町
●拠点/問い合わせ
 屋久島町環境政策課(鹿児島県熊毛郡屋久島町小瀬田469-45)
 TEL:0997-42-0100
 ウェブサイト:http://www.town.yakushima.kagoshima.jp/

出典:日本自然保護協会会報『自然保護』No.553より

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