ミニライブの後はブレイクアウトルーム(小部屋)にわかれて、これまでのお話から感じたこと気づいたことを自由に語り合いました。
参加者からは、以下のような意見や感想がありました。
レーナさんが過去にコーディネートしたツアーのスライド上映をみた後、レーナさんも加わって参加者からの質問も交えた全体セッションが行われました。
森:
ツアーを組むときに壹岐さんがいちばん大切にしていることは何ですか?
壹岐:
やはり人です。人を見つけるのが僕の仕事で、そこの誰とつながればいいのかということをいちばん大事にしています。間違った人とつながっては意味がない、その地域に根ざした人でなければ、その土地の本当の姿を見ることはできません。そして価値観を共有できる人を見つけるためには、やはり自分が動かないとダメなんです。
森:
オンラインやメタバースの時代、実際に自分の体を動かす旅行はどうなると思いますか?
壹岐:
オンラインが進めばリアルを本来の商売にしていた業界は使い方次第だと思っています。オンラインを体験することで興味がわき、実際に現地に行くきっかけになることもあります。また、オンラインならばハンディキャップのある方や高齢の方にも楽しんでいただけるなど可能性がたくさんあります。これからはリアルとオンラインのハイブリッドツアーになっていくと思います。
森:
先ほどのミニライブで壹岐さんが気をつけていたことを教えてください。
壹岐:
ツアーを組む時もそうですが、単なる契約関係ではなく自分が培ってきた大切な人との関係をみなさんにも紹介したいという気持ちでやっています。家に招き入れられたように感じていただけたらうれしいです。
参加者3:
レーナさんの好きな日本食は何ですか?
レーナ:
焼き魚が好きです。お魚を焼いてちょっとお醤油をかけて大根おろしと一緒に食べて、ご飯とお茶もあって、そういう食事が大好きです。スウェーデンではサンマが手に入らないので本当に食べたいです。
参加者4:
レーナさんのスライドでバイオガス発電の映像が映りましたが、スウェーデンは暮らしの近くに森林があるのでバイオマスに対する理解が日本よりも進んでいるのではないかと思っています。スウェーデンと日本で、バイオマスなどに対する知識に差を感じますか?
レーナ:
スライドに出てきたのは、バイオガスが発電ではなく町のバスを走らせるための燃料として使われている様子です。バイオマスは、木質ペレットを燃やして地域の暖房施設でお湯をつくり、それを送って暖房に使ったりします。ある程度の発電をするバイオマス発電の仕組みもあります。
日本は地域暖房のしくみはあまりありませんよね。スウェーデンは大規模な地域暖房でバイオマスを使うことがあるので、日本よりは知っているという人が多いと思います。
参加者5:
大沼さんのお話の中で発電所建設には反対派もいるとありましたが、環境意識の高いスウェーデンではどうやって地元の理解や了承を得ているんですか?
レーナ:
スウェーデンでも今すごいスピードで風力発電がつくられています。人口密度が日本より低いのでうまくいくことも多いです。スウェーデンには「環境法典」というものがあって、環境に影響することをやろうという時はとても早い段階で関係者と協議しないといけないと決まっています。早い段階から住民に話が伝わるので、問題点を話し合いやすくなっています。ただ、住民や自治体にお金など何かしらのメリットがないと進めにくいという意識も広がっているのも現状です。
参加者6:
大学の教員をしています。学生をエコツアーなどに参加させたいと思っていますが、「エコツアー」と「サステナブルツアー」の違いはどのようにとらえていらっしゃいますか?
壹岐:
「エコツアー」というと「なんかインチキくさい…」と受け取られることもあるので、そこはきちんと説明していかなけれいけないと思います。先ほどは「自然の再生をしながら自分自身が生まれ変わるのがエコツアー」と言いましたが、「エコ」というと一般的には環境に良いことというイメージですよね。それに対し「サステナブル」は環境だけでなく、人間や社会も含めたより広い意味で持続させていくということだと考えています。「サステナブルツアー」の方がより広い概念なんですね。
旅というのは取り返しのつく人生。だからとてもお得なんです。日帰りでも1年でも、行ってそして帰って来られる。一度しかない人生を何回もお試しできる、それがエコツアーだったらもっといいと思ってましたが、それよりももっと、環境だけではなく、さまざまなことに良い影響を与え続けられるものが「サステナブルツアー」です。
参加者6:
学生たちにどういう体験をさせればサステナブルな世界を考えてくれるのかといつも考えています。世界はサステナブルを意識しないといけない段階に来ていますが、まだ学生たちにはその意識がないように感じています。
壹岐:
生きることを学ぶのが旅だと思っています。大学にはいろいろな仲間がそろっているので、勉強だけではなく地域に貢献する作業などを授業として体験する中で意識が芽生えてくると思います。
僕の会社の場合だと、民主主義を学びにスウェーデンに行く選挙のツアーをやっています。投票率が90%もあるような国の秘密は何なのか、頭ではわかっていましたが行ってみて初めて理解できました。日本では有権者の顔色を見ながら候補者が演説をしますが、スウェーデンの候補者は誰とでも話す。効率の悪い対話を繰り返すんです。それだけ自信があるんだなと思いました。例えば模擬選挙を体験するなど、授業でやれる中で切り口はいろいろあると思っています。
森:
旅からは何かしら得るものがありますから・・・学生さんを信じるというのがいいのかな、とも思いますね。