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第37回エコ×エネ・カフェ「地方移住は令和の時代を生き抜くチカラを育む!!~地方創生から見るこれからの暮らしや働き方~」

  • 2021年10月27日
  • 緑のgoo編集部

ぺちゃくちゃタイム

ブレイクアウトルーム(小部屋)にわかれて、おふたりのお話から感じたこと気づいたことを自由に語り合いました。

参加者からは、以下のような意見や感想がありました。

▪都市部に住んでいてインフラが使えることが当たり前なので、お金がなくても暮らしていける暮らしが想像つかない。とてもすごいと思うけれども自分にはまだできない。

▪来年から就職することが決まっているので、就職という「寄らば大樹の陰」的な考え方と、おふたりのような企業や社会制度に依存しない生き方は真逆な価値観で衝撃的だった。

▪阿部さんは「地域には仕事がたくさんある」と言っていたけれども、それを見つけるのがとても大変。まずは地域の人と仲良くならなければいけないが、都市部と地方では価値観がまったく違うので仲良くなるのも一苦労だと思う。

▪おふたりが非常に謙虚だという印象が強かった。移住先でやりたいことよりも、地域の方に寄り添うことを優先しているのがすばらしい。

▪地域に骨を埋めるという覚悟があるのがすごいと思ったが、地域の人からすると、それくらいの覚悟がある人でないと心を開きたくないのではないか。

▪櫻庭さんは古民家を借り受けて住みながら改築しているとサラッと言っていたが、改修が必要な状態で住むのは大変だし、屋根が崩れるなどのエピソードも、聞く分には楽しいけれど自分の身に起きたら本当につらい。

▪都会だったらお金を払えばやってもらえるということは多いが、地域だとまず仲間集めや共感してもらうことから始めなければいけない。コミュニケーションスキルは地方の方が重要になる。

▪阿部さんは県内出身で実家が建設業ということだが、そのようなアドバンテージがない人でも簡単に地域に入っていけるようになると移住が進むと思う。補助金などお金の問題だけではなく、心理的にも敷居がもっと低くなるべきだと思う。

▪ビーガンやスローライフなどと移住は親和性が高いと思うので、そういうブームとうまく掛け合わせていくことができればもっと移住が広まると思う。

▪コロナ禍で注目されるようになった移住は居住の場と仕事の場の分離だが、地域おこし協力隊の移住は居住の場で仕事をするという違いがある。コロナ禍で増えた移住形態について地域で仕事をしている移住者はどうとらえているのか気になった。
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全体セッション

全体セッションでは、参加者のみなさんとゲストとの対話が質問形式で行われました。

阿部:
まず私から質問があります。移住を促進するためには、私たちはどのような入り口を設定すれば効果的でしょうか?

参加者1:
定期的にオンラインカフェを開くのはどうでしょうか?月に1回程度でも、地域の方にゲストとして出てもらうのが良いと思います。
地方の観光ホテルで、ありのままの地域色を生かした接客がウケている例があります。地域の普通の方がゲストで毎回出てきて定期的に発信すれば「こんなところなんだ」という発見やおもしろさがあるのではないでしょうか。

櫻庭:
地域の方を交えて東京の方とオンライン会議をしていると、こちらの方言が強くて東京の方がなかなか聞き取れないんです。会議だと障壁になるようなことも、オンラインカフェだと逆におもしろいかもしれませんね。
身構えない素の地方の姿を都市の方に知ってもらえるような交流の機会がなかなかないので、私や阿部さんが間に入ることで新しい可能性が生まれるかもしれません。

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参加者2:
宮城県に住んでいます。ネット上で、県内旅行に関する欲しい情報になかなか辿り着けなかった経験があります。若者への情報発信に関して課題に感じていることはありますか?

櫻庭:
情報を発信する人も検索する人も少ないのが今の課題です。情報発信に長けている若い方が来てくれて、ポジティブな情報もネガティブな情報もたくさん出るようになるといいと思っています。

阿部:
情報はあっても、自治体を含め各セクションがバラバラな情報発信をしているのが課題だと感じます。発信すべき情報も目指す方向も同じで情報が組み合わされるとものすごくおもしろいプログラムになるのに、情報発信が旧態依然なんですね。そこのキュレーションは外部の方が取り組む意義があると思っています。

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参加者3:
知り合いが一人もいない地域に移住するのは勇気がいるので、阿部さんや櫻庭さんのような仲介役や、同世代の友達を紹介してくれるサービスがあればいいと思いました。

参加者4:
学生が地域を学べるようなプログラムをつくり、大学に紹介するのはどうでしょうか?大学で地方創生の地域実習があるのですが、選べる行き先の選択肢が少ないと感じています。私たちエコ×エネ・カフェ参加者が大学に掛け合ってみるのもいいのかもしれませんね。

森:
このようなご意見がありましたが、若い方たちを巻き込むためにやってみたいと思っていることはありますか?阿部さんは若いインターンの方をどうやって集めたんですか?

阿部:
6年前、長期インターンを募集したいと思っていた時に、たまたま仙台でインターン事業をやっている方を紹介していただいたのがきっかけです。大学生の方が半年の間、授業がない週末に仙台からバスを乗り継いで来てくれました。
今は、国立花山青少年自然の家の地域探求プログラムの一環として高校生インターンを受け入れています。若い方が自分たちのふるさとを見つめ直すことで、関係人口(定住に限らず地域と多様にかかわる人々)[https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/] としてかかわり始めていると感じています。

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参加者5:
地方の暮らしに興味があるので、ふるさとワーホリ(地域に滞在し、地域の仕事や行事を通じて交流をすることで地域の暮らしを体験する短期の制度)[https://furusato-work.jp/]に行くことを考えています。
多くの人は、新卒でいきなりではなくキャリアが安定してからのタイミングで移住を考えると思うので、具体的に移住を考えるようになった時に、若い頃から短期間の体験型プログラムなどで地方との交流があるとだいぶ違うのでないでしょうか。

森:
そういう制度もあるんですね。ワーケーションや2拠点、3拠点居住なども増えてきて、地域とのかかわり方も多様化していますね。実はおふたり、今計画していることがあるんですよね。

櫻庭:
私たちの暮らしを体験していただく2泊3日のツアーを用意しています。私の民泊「古民家櫻ノ庭」と阿部さんの「佐藤旅館」に1泊ずつ泊まっていただき、ストーブで使う薪づくりや木こりを通じての森づくりを体験していただきます。

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【初冬くりはら暮らし宿泊体験プラン】

●申込方法:googleフォームへ入力をお願いいたします。
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●最終申込締切:11月6日
※申込は先着順のため早めに締め切る場合がございます。

●問い合わせ先:古民家櫻ノ庭 櫻庭まで
sinyayb3(アットマーク)yahoo.co.jp 080-6525-8367

森:
移住してきた時のことを振り返ると壁はたくさんあったと思うのですが、どうやって乗り越えてたんですか?

阿部:
何かがしたくて花山に来たのではなく、都市での生活に限界を感じての移住だったので、とにかくまずやってみるしかありませんでした。行動して失敗して改善しての繰り返しでした。
宮城県は地震が多く、40年に1度マグニチュード7の地震が来るんです。それでも東日本大震災は想定外でした。緻密に事業計画を練っても想定外のことが起きてしまうと意味がなくなってしまいます、コロナ禍もまさにそうですね。だからやはり実践しかないんです。
失敗しても食べ物やエネルギーを自給自足できるのが私たちの強みです。そこに依って立つことで、元々花山に住んでいらっしゃる方のようにどっしり構えることができる。ここが、移住して10年のよそ者である私の到達点だと思っています。

森:
阿部さんはご自分の事を「よそ者」とおっしゃいますが、10年いて事業もたくさん展開していて、まだよそ者なんですか?

阿部:
地域の主人公はあくまでも元々花山に住んでいらっしゃる方で、自分は脇役ということをわきまえたいと思う意味で「よそ者」だと思っています。保育士だった私が旅館の経営までできるようになり、地域の方々の応援と下支えのおかげで能力以上のことをさせてもらっています。地元の方々の応援がないと事業が一歩も前に進まないので、「よそ者」としての節度をわきまえながら地域づくりに取り組んでいきたいと思います。

森:
阿部さんは花山に骨を埋めるという覚悟があるということですが、一生「よそ者」を貫くのでしょうか?

阿部:
実は、事業承継を考え始めています。会社を設立して7年目の今ようやく手応えのようなものを感じていて、そろそろ次の社長を迎えたいと思い始めているところなんです。もちろん5年も10年も先のことですが、10年経っても会社が存続する理由があって無事に代替わりできた時「花山に根付きました」と言えるのかもしれません。

森:
将来的なビジョンはあってもそれを決め込むのではなく、今は「よそ者」のわきまえでいるというスタンスなんですね。
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森:
櫻庭さんは最初岩手県の花巻市に移住し、そこから栗原市に移住していますが、2回の移住で何か考え方が変わりましたか?

櫻庭:
最初に花巻に移住した頃からあまり変わっていません。阿部さんと同じく、とりあえずやってみるということが重要だと思っています。東京にいた時は、失敗しないためにたくさん準備をしていました。でも、失敗しないと学べないことって多いですよね。今は、100点じゃなくて60点ぐらいを望まれていて、40点くらい取れたらいいのかなと思っています。そのくらいの準備でとりあえずやってみて、失敗して「こういうものなのか」と学ぶことが多くなりました。
もう一つ当初から変わっていないスタンスは、誘われたら断らずにすべて「YES」 でこたえることです。地域に溶け込むには理屈抜きで長く一緒の時間を過ごすことが重要なので、今後もなるべくそうしようと思います。

森:
確かに、失敗して上司に怒られないようにすごく準備しますよね。でも今は、40%の準備で失敗して地域の人に怒られても、そこから学べると思える。上司に怒られるのと地域の人に怒られるのは何が違うのでしょうか?櫻庭さんのお話には理不尽エピソードも多いのですが、「YES」ばかりだと辛くなりませんか?

櫻庭:
地域の方は怒るというより、愛情をもって「叱る」に近いと感じています。私を育てようとしてくれたり心配してくれたりしているのがわかるので、誠意をもってこたえたいと思っています。
それでも辛くなった時は…奥さんや家族がいると精神的な支えになると思うので、そういう方と一緒に移住するのがおすすめです、私が言うのもなんですが(笑)。もちろん、ただのイエスマンだと自分がないヤツだと思われてしまうので、たまには自分の意見もしっかり伝えるようにしています。

森:
東京で暮らしている自分からすると今の発言はとても衝撃的です。櫻庭さん、移住してスタンスが180度変わったんですね。

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