ワールドカフェを受けて、全体セッションの時間です。2回の話し合いを経て感じたことや、牧さんへの質問や意見が交換されました。
会場:技術革新の話を聞いて刺激を受けました。今後、宇宙太陽光発電の開発過程で派生技術も革新していくと思いますが、この派生技術を突きつめることで地上での発電技術の飛躍に結びつくように感じましたが研究者としていかがですか?
牧:確かに、より早期に実現できるのは地上での技術だと思います。例えば、発電衛星の軽量化の技術は、飛行機など他の分野でも応用できますよね。自分が生きているうちに成果をみたいという意味でも、そういった技術にも積極的に取り組んでいきたいと思います。
会場:予算を得るためにどんなことをアピールしていますか?
牧:「社会にどういった貢献ができるのか」という視点は絶対に必要です。また、研究は新規性が問われますから、いままでの技術と何が違うのか、それをすることでどんな効果があるかを具体的に示すことが大事です。
会場:研究開発の必要性を一般の人に認めてもらうために、理解を得ることが必要と感じました。JAXAのみなさんは一般向けの説明をどのように位置付けていますか。また、説明の際のポイントは何でしょうか。
牧:独立行政法人なので、みなさんの税金で研究している。それをどういうことに使い、どんな成果を出しているかを説明することは義務でもあります。広報活動や講演を積極的に行うようにしていますが、その際、専門的な用語を羅列しても仕方がない。「本当に伝えたいことだけを伝えることがポイント」だと、講演のプロの方から教わりましたが、それが今日出来ているかどうか不安です(笑)。
会場:人間と科学技術が共存する社会を求めているとのことですが、研究者として気をつけていることは何ですか?
牧:人を守るため、社会のための技術を研究したいと思っています。軍事目的のようなことはしたくありません。例えば、今研究している、ドローンに給電する技術は、災害現場のような人間の入れない危険な場所での活動を支援するための技術です。そういった形で人間と共存できる技術を、今後いろんな形で開発していけたらと思っています。
森:でも、技術っていいことにも悪いことにも使えちゃいますよね。
牧:科学技術が、戦争をきっかけに、どんどん発展してきたことは事実です。敵に勝つために必要な技術としてレーダーが発達したように。そういう関係性は捨てられないものかもしれませんが、一人ひとりの研究者や利用者がどういう気持ちを持って技術に接しいているのかが大事だと思っています。