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第17回 「再生可能エネルギー事業で持続可能な地域をつくろう!」木村 麻紀 氏

  • 2014年12月25日
  • 緑のgoo編集部
J-POWER エコ×エネ・カフェ

つながり、エネルギーをつくる喜び

森:まちエネ大学は再生可能エネルギーを事業として成立させることを目的としていますが、あらためてその意義とは?

木村:私は以前、ドイツに3年ほど住んでいたことがあるのですが、当時すでに、南ドイツでは農家の方が発電するのは当たり前になっていました。牛舎に太陽光パネルをつけたり、酪農家さんは牛糞をバイオマス発電に活用したり。農家は発電するのが当たり前、というものを見てきていたので、日本にもようやくこういう時代がきたのだなと感じています。
家庭菜園があるように、家庭発電に関心が向いたのは、日本では東日本大震災以降だと思います。省エネと創エネがありますが、創エネは事業として、持続可能につくっていくのが大事だと思うんです。自分がつくった電気がつくと、みんな「わっ」となるんですね。つくるワクワク感がある。いろいろな課題がありますが、自分たちで事業として続けていく人たちがもっと増えていったらと思っています。

森:事業ですと、それなりに責任も生まれてきますよね。受講者の皆さんの反応は?

木村:続けていくことが大事と感じ、だから想いだけではなく、お金の面でもしっかりしなくてはならないのですよとお伝えしています。まちエネ大学の講師の方から伺ったのですが、民法には「事業」とは「反復継続すること」と記されているのだそうです。つまり、継続しなくては、事業として成立しないんですね。反復継続ができる形の事業計画を組み立て、続けていくには、志の同じ仲間との出会いが大事です。まちエネ大学はそういった出会いの場としても機能できればと思っています。

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トーク

みんなにとって、心地よい未来を

森:「持続可能性」はエコ×エネのテーマでもありますが、木村さんは、何がどれくらい持続すると持続可能だと考えていますか?

木村:WIN-WINという言葉がありますが、私にとっては、誰もが泣かなくてもいい世の中。何かが栄えることで何かが犠牲になるという考えから対極にある、人も、自然も、地域も、みんなが良くなる社会のことを、持続可能だと思っています。ネイティブアメリカンの7世代続けていくという哲学にもつながりますが、自分の世代から、今の状況を少しでもよくして次の世代に残していけるといいですね。

森:これまでの話では、電力会社がたくさんつくられるという話でしたが、電力会社の立場から、J-POWERの藤木さん、ご意見いただけますか?

藤木:日本のエネルギー自給率は、いろいろ含めてもわずか4%ほどしかありません。地域創生とFITを活用した事業がうまくミックスしていくと、エネルギー自給率があがり、地域も元気になって、とてもよいと思いました。FITにもいろいろな問題があると指摘されていますが、これを踏まえて、木村さんはこの事業にどんな可能性を感じていますか?

会場
トーク

木村:FIT単体では収益を出しにくい状況になっていますので、再エネと何かを組み合わせることが大事です。例えばまちエネ大学の宮城(仙台)スクールでは、老人福祉施設の方がソーラーシェアリングを行い、それで得た収益を地域のお年寄りが集まり、生きがいを育てる場をつくるための原資にしたい、というアイデアがあがっています。FITの活用という意味では、中小水力と地熱がまだまだなので、これから事業が生まれる仕組みを考えていけたらと思っています。地熱は大規模な設備投資が必要で一般の方には手を出しにくいですが、例えば温泉組合の方が立ち上がることも考えられるかもしれません。小水力も、今年は全国サミットが長野県で開催されるなど、関心が高まっていますね。

藤木:森林大国日本の荒れた森をなんとかしたいという人が、全国各地にいらっしゃいますね。私個人としては、木質バイオマス発電にも期待しているところです。これから地域のために再エネ事業を手掛けようという人たちがたくさん集まり、育っていくと良いですね。

木村:人を地域でどう育てるのかは課題ですね。FITは20年間買い取ることになっていますが、その20年という長い間、地域でどう責任を持ち、運用し続けていくか。地方には若い方が少ないですし、ある程度年配の方には後継者の問題もあります。若い方の経験不足を補いながら、いかにして知恵を持ち寄り進めていくか。いろいろな人が集まるまちエネ大学として、こういった点にも着目しています。

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