サイト内
ウェブ

第15回 「再生可能エネルギーで日本が変わる!?」松本 真由美 氏

  • 2014年3月13日
  • 緑のgoo編集部
J-POWER エコ×エネ・カフェ

<バイオマス>

バイオマス

松本:再生可能な生物由来の有機性資源であるバイオマスですが、いろいろな種類があり、活用が期待されています。ヨーロッパではペレットの流通が多いため既に1千万トンが流通していて、原油価格が高騰している状況ですので、価格的にも競争力はあるのですが、残念ながら日本では普及が遅れています。国内で成功している事例としては、岡山県真庭市にある集成材生産の最大手銘建工業が木質バイオマス事業を展開しています。木質バイオマスは、原料の輸送にコストがかかり、原料を安定的に確保することが重要ですので、大規模に事業を展開している企業が成功しやすい面があります。銘建工業では、集成材の加工過程で出るプレーナチップ等の副産物が毎日大型トラック10台分出るそうで、以前は産業廃棄物として有償で買い取ってもらっていたものを現在はバイオマス発電やペレット生産に利用しています。日本で流通するペレットは6万トンですが、そのうち2万トンを銘建工業が作っています。

バイオマス発電施設
会場

<風力発電>

松本:2012年10月に環境アセスメント法が改正され、第一種1万kW以上、第二種7500kW以上の規模の風力発電は環境アセスメントの対象になりましたそれも背景としてあり、固定価格買取制度が始まりましたが、風力発電の導入スピードはやや停滞している状況です。しかし、海外での大規模ウィンドファームは石炭火力発電並に安く、欧米でも再生可能エネルギーの割合が高い国では風力発電の比率が高いのが特徴です。日本は国土が狭く、山の尾根に設置することも多く、一定の強さで風が吹き続けるわけではない、立地計画地での住民反対等の課題もありますが、今後の普及策を考えていかなくてはなりません。

風力発電
市民出資の再生可能エネルギー発電事業

森:市民出資の風車も、作られているのですよね。

松本:はい。ただ、市民風車といっても中型のものでも一基2億円ほどイニシャルコストはかかりますので、市民枠だけではなく、全国枠に広げ多くの方から出資を募る形となることが多いです。

市民風車

森:風車に出資した人の名前が書かれたりもするのですね。

松本: そうですね。出資者に事業への参加意識を持っていただけるようなサービスも提供し、一口10万円から50万円という枠で募集しているケースが多いようです

<浮体式洋上風力発電>
松本:福島沖に浮体式洋上風力発電実証事業が進めれていることをご存知ですか?3年間の実証期間中に3基の浮体式洋上風車とサブステーション(洋上変電所)を建てるという壮大な実証実験です。重さ200トン以上ある風車を6本のチェーンで留めています、洋上で大きな波をかぶっても、1℃も傾かないという、すごい技術なんです。

浮体式洋上風力発電
浮体式洋上風力発電

森:浮いているのにめちゃくちゃ安定しているということですね。

松本:既に2メガワットの浮体式風車1基とサブステーション1基が建っていますが、漁業者の方の了解を得て昨年4月から実証事業が行われています。小名浜港から20キロ程沖合に建っていますが、実際に船で行ってみると波が高くて接岸が難しく、洋上での実証研究は大変だと実感しました。

森:プロジェクトの実施が決まったのは東日本大震災の後ですから、すごいスピードで作られたのですね。

松本:オールジャパン体制で最先端の次世代技術を集結して作られています。洋上風車で発電した電力はサブステーションで昇圧され、地上の変電所に送られます。今年から来年にかけて、7メガワット規模の浮体式風車が2基設置される予定です。

洋上変電所
洋上変電所

森:日本の本気度を感じますね。

松本:実証実験事業はあと2年間予定されていますが、実証終了後に地元の漁業関係者と話し合い、「風力発電と漁業との共存」が可能であると漁業者の方々の同意が得られれば、実用化に向けて進められることになります。

森:国や民間でいろいろな動きがありますが、それぞれ課題もあるのですね。


キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

記事の無断転用は禁止です。必ず該当記事のURLをクリックできる状態でリンク掲載ください。