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第15回 「再生可能エネルギーで日本が変わる!?」松本 真由美 氏

  • 2014年3月13日
  • 緑のgoo編集部
J-POWER エコ×エネ・カフェ

普及を後押しの動き、課題もいろいろ・・・

<発電容量>

松本:2013年10月の新聞記事「再生エネ容量15%増 買取導入1年、原発3基分」ご覧いただきましょう。「再生可能エネルギー容量15%増、原発3基分」という表現が目に止まりました。発電容量と実際の発電電力量と同じではありません。設備利用率が太陽光はだいたい12%として、記事の太陽光の設備容量366.6万キロワットという数字は、発電電力量ベースで換算すると原子力発電所0.5基分というのが実際の数字です。記事自体は正しいのですが、見出しを見て誤って解釈する読者がいるのではと少し気になりました。

森:24時間365日太陽が出て発電されているという訳ではない、ということですよね。でも、実際に再生可能エネルギーそのものは、伸びているのですよね。

<固定価格買取制度の導入を受けて>

松本:2012年7月1日に固定価格買取制度がスタートして以降、制度の後押しを受けて再生可能エネルギーの導入が増えています。

再生可能エネルギーの導入状況

森:固定価格買取制度とは、ある一定の条件を満たす再生可能エネルギーの発電は、系統につながったものは電力会社が全部買い取るというものですよね。

森:それから、農地が使えないという話も変わりそうなんですよね?

松本:再生可能エネルギーの普及を後押ししようと農林水産省による「農林漁業再生可能エネルギー推進法」が昨年11月15日に国会で成立しました。今年の春には国が基本方針を策定しますが、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を促進し、農山漁村の活性化を図るという取り組みが盛り込まれることになります。それに基づき市町村は基本計画を作成しますが、自治体は協議会を設置し再生可能エネルギー推進地区をつくることができるようになります。再生可能エネルギーを進めたい事業者の方が、計画立案の段階から会合に参画し、申し入れを行うこともできるようになるでしょう。設備整備計画が認定されると、農地転用のみなし取得となり、同様に自然公園法や温泉法といった関連法についてもワンストップでのみなし取得ができる可能性が高くなります。

農林漁業再生可能エネルギー推進法

森:つまり、ルートはできたので、認定委員会でOKが貰えれば、いろいろな法律をとっぱらって発電所を作ることができるということなのですね。

松本:自治体のやる気次第とも言われていますね。

森:課題もいろいろあると思いますが、先ずは「値段が高い」という点が大きいですよね。

課題
コスト試算

松本:既存電力と比べて2-3倍と高コストですので、コストの低減を図っていかなくてはなりません。また、送電網の強化などインフラ整備が急務と言われています。

森:固定価格買取制度は、発電した電気を、一定の固定価格で買い取ってくれる制度ということですよね。

買い取り価格
発電賦課金

松本:10kW未満(住宅用)以外は全量買い取りです。買取期間は電源により15-20年と幅がありますが、買取価格が決められたら、ずっと定額で20年間買い取ってもらえるというしくみです。電力会社が買取を行いますが、買取金は賦課金という形で電力料金と共に私たち国民から集められます。賦課金は今現在、日本の一般家庭で1ヶ月120円くらい。スタート時は70円くらいですが普及とともに買取金額は増えていきます。

森:今後、再生可能エネルギーの普及が広がると、この賦課金の額が電気料金にどんどん上乗せされてくる可能性があるわけですね。

松本:再生可能エネルギーの普及が拡大すればその分全体の買取金額は増えていきます。

導入状況

森:最新のデータでは、固定価格買取制度導入後の再生可能エネルギーの発電設備の導入量は累計で585.2万キロワットと言われているそうですが、その内訳は、非住宅用の太陽光だけで382.7万キロワットと、占める割合が大きいですね。

会場
会場

松本:リードタイムと言われますが、他の電源と比較すると開発に時間がかからないため、太陽光が圧倒的に多く9割以上を占めています。これを、設備認定を受けた容量でみると、22.5ギガワット分あります。実はこれは大きな課題の一つですが、設備認定の許可をもらったのに稼働に至っていない設備がまだまだたくさんあるのが現状です。世界で最初に固定価格買取制度を本格的に導入したのはドイツですが、現在再生可能エネルギー電源の割合は全体の20%を超え、2020年には35%、2030年には50%達成といった目標を掲げています。

森:日本ではまだ、エネルギー政策が審議中という状況ですが・・・。

松本:今後の買取金額も議論の争点となるでしょう。ドイツの平均的な一般的な家庭では今、再生可能エネルギー賦課金として毎月2,400円(年間約3万円)を負担しています。しかし、大企業は多くの賦課金を課すと国際競争力が失われるため減免措置が取られています。

ドイツの再生可能エネルギー
ドイツの再生可能エネルギー

森:そんなことをしたら、国民は怒ってしまいますよね。

松本:ドイツでは2、3年前、太陽光発電の買取金の負担が膨らみ、批判が起こりました。太陽光については固定価格買取制度の見直しが行われ、毎月のように買取価格を少しずつ下げている状況です。

森:ドイツはもう15年くらい導入していますが、日本ではまだ2年ほど前に始まったばかりですからね。

FITの効果
今後の負担は?

<再生可能エネルギーの需要と供給の実態>

松本:日本の再生可能エネルギーの発電量を見ると、全国トップが大分県の19.9%、ワーストが東京都の0.4%です。
再生可能エネルギー供給量でみると、関東圏でも神奈川県や埼玉県なども健闘しています、都市部ではどうしてもエネルギー需要が多いため自給率となると低くなってしまいます。

森:大都市圏で再生可能エネルギーを導入するのはなかなか難しいということですね。

再生可能エネルギー供給量
自然エネルギー電力自給率

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