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第15回 「再生可能エネルギーで日本が変わる!?」松本 真由美 氏

  • 2014年3月13日
  • 緑のgoo編集部
J-POWER エコ×エネ・カフェ

ここからは、J-POWERの小林さんも交えてのトークセッションです。

会場
会場

小林:ドイツの再生可能エネルギーの賦課金が月々2400円以上というのは驚きですが、ドイツ国民の意識については、どのように感じていますか?

松本:2011年1月に視察しましたが、国民的に再生可能エネルギーを増やしていく総意が8割程得られていて、脱原子力に向けた合意がほぼできていると感じました。ヨーロッパではすべての国が脱原子力の方向にシフトしているわけではありませんが、ドイツは世界の環境リーダーとしての意識が非常に高く、低所得層の家庭も含め国民皆で賦課金を負担していくことを受け入れているようです。電力は自由化されていますので国民はエネルギーを選ぶことができますが、電気料金が高めの再生可能エネルギーを選ぶ人が増えてきているようです。また省エネ対策も進んでいて、建造物の省エネ基準をEUの中で率先して作ってきたのもドイツです。あらゆる方策でエネルギーを合理的に使い、CO2の排出量を減らしていこうと考えています。あらゆる面で考え方に筋が通っていると現地を訪れ、強く感じました。

小林:日本における現行の固定価格買取制度は、無理があるのではないか、よっていつまで続けるのかという指摘もありますが、その点はどう思いますか。

松本:これは再生可能エネルギーを普及拡大するためにインセンティブとして作った仕組みですので、いつまでも補助金頼みの状況が続くのは現実的ではありません。再生可能エネルギー事業はいずれ自立してもやっていけるビジネスモデルに転換していく必要があると思っています。

さて、松本さんからの話題提供を受けて、これからはワールドカフェでの対話の時間です。「意味を追究する会話、対話(ダイアログ)」を。問いに意識を集中して話し合っていただければと思います」という森さんの言葉を受け、テーブルごとに、与えられた問いについて話し合っていきます。

ワールドカフェ:
問1
いろいろな再生可能エネルギーの取り組みがありますが、
あなたが「ぐっと来た」のはなんですか?どんなことでしたか?
問1
会場

最先端技術の集結した洋上風力発電に感動したという意見がありました。

「あんなに巨大でありながら台風で海が荒れるような時にも、安定しているというのは驚きでした」「全日本の叡智を集めて作られたということで、これから世界市場で展開できる日本の強みになると感じました」「相当の資金を投入しているそうですが、果たして採算がとれるのだろうかと考えました」「実用化するには、技術力ばかりではなく漁師さんの賛成が必要ということで、今後の展開が気になります」

小規模で展開できる、マイクロ水力に惹かれたという意見もありました。

「マイクロ水力は、日本の多くの地域に設置していけそう。地域で保有・管理するなどしていったら、発電がコミュニティにとって身近になるような気がします」「市民ファンドなどを活用して普及が進む可能性が高いような気がしました」

会場
会場

また、日本に豊富な地熱資源を活かした発電に期待したいという声も多くありました。

「温泉で地域おこしという事例が心に刺さりました。日本には温泉がたくさんありますし、観光客が減り寂れているところもあります。地熱発電は、まちおこしの起爆剤にもなるような気がしました」、「温泉組合の合意を取りまとめられている地域は、現在はまだ、少ないのだろうと感じます。本当に経営に困っている状況にある温泉地を、突然明るい人たちが紛れ込むというのではなく、地域に密着したテーマや体験等と結びつけて、デザインしていくとよいと思います」、「バイナリー発電とのコラボレーションなども考えられそうですね」、「発電で元気になる温泉街が増えたらいいなと思います」、「低温でも発電できるバイナリー発電の存在を知って、可能性を感じました。地域にあるものと、使える技術を知ることで、発電の可能性がもっとたくさん見えてくるのだろうなと感じました」

会場
会場

その他、着眼点が新鮮だったとして、ソーラシェアリングについてのコメントも多くみられました。

「ソーラーシェアリングは、形を変えたユニークな太陽光発電。収穫量への影響についての制約はあるけれど、農地の活用にもなり、地域の収入源を増やすことにもつながると思うので、自治体レベルでの推進が盛んになればいいと思いました」「地域だとか、地方の農業を元気にしてくれそうな再生可能エネルギーの話を聞くと、気持ちが明るくなります」。

一人をテーブルに残し、メンバーを入れ替えて、2つ目の問いに移ります。

問2
再生可能エネルギーの普及で、日本はどう変わっていけばいいと思いますか?
問2

エネルギーの選択肢が増えるという意見がありました。

「これまでに紹介されたさまざまな発電方式の他、宇宙での太陽光発電技術や、潮力など、技術の発展と共にさまざまな発電方法が身近になると思いました」「送電線の整備が進むことで、選択肢がますます増え、エネルギーの使い方にも個性が表れる社会になるのではないかと思います」

省エネの大切さが改めて見直されるという意見もありました。

「再生可能エネルギーを使っているというだけで、ついエコなことをしていると思いがちですが、実際にはエネルギーを使うことで地球に負荷をかけていることには変わらないのですから、同時に省エネについても普及啓発が進む必要があると思います」「再生可能エネルギーはまだ高い印象がありますが、省エネと組み合わせることでコスト的にもちょうどいいラインを見い出していけばいいのではないかと考えました」「再生可能エネルギーと省エネを組み合わせることで本当の経済活性化が期待できるのだと思います」

会場
会場
会場
会場

地域経済が活性化するという意見がありました。

「電力や農作物の生産の両方を自分たちで手がける自給自足型の暮らし方に魅力を感じて、田舎に移り住む人たちが増えるのではないかと思います」「再生可能エネルギーの資源を探す視点が育ち、地域を評価する目が変わってくるのではないかと思います」「森林資源を活用し、ペレットストーブが普及する仕組みがつくれれば、地域に雇用も生まれて、産業の構造も変わってくると思います」

その他、「規模の違うさまざまな発電が設置される場所が増えて、発電施設があらゆるところにある、災害にも強い社会になると思います」といった意見もありました。

対話に参加する松本さん
対話に参加する松本さん

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