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第6回 「エコなエネルギーの使い方って何だろう」荻本 和彦 氏

  • 2011年2月17日
  • 緑のgoo編集部
J-POWER エコ×エネ・カフェ

スマートグリッドの可能性とは?

森: 具体的にはどんな構造をイメージすればいいのでしょうか?
荻本: こちらの図(*)を見ていただきたいのですが、現在は電力を供給する側で全ての集中エネルギーマネジメントを行い、供給側で需給バランスの制御を行っています。けれども、これから再生可能エネルギーが利用されるようになって需給変動が多くなった場合、例えば家庭に太陽光パネルが普及し、各拠点に大型の蓄電池が設置されるようになると、蓄電池側でも需給バランスの制御ができるようになる。それがこの図の上から2番目の図になります。

「スマートグリッドはどう展開されるか」そのイメージとは
「スマートグリッドはどう展開されるか」そのイメージとは
再生可能エネルギーの大規模導入を支えるスマートグリッド
(*)再生可能エネルギーの大規模導入を支えるスマートグリッド

荻本: そしてこれをもう一つ工夫したのが、各家庭のエネルギー需要に応じてエネルギーの需給管理が出来るようになってくる。それをイメージしたのが一番下の図になります。
森: もう少し具体的に説明してもらえますか?
荻本: 例えば明日が晴れという予報なら、昼には自宅で太陽光発電が出来ますので、その電力を使うことができます。電気自動車も「明日は晴れなので、その時できた太陽光発電を使って充電してね」という設定をすればいい。グリッドというと多くの人が「電線」というイメージを持つのですが、「スマート」の「賢さ」の核心部分は、需要を活用して、需給バランスを上手に取りながらいろいろな電源を使いやすくする、いうところにあります。

熱心に話を聞く参加者の皆さん
熱心に話を聞く参加者の皆さん
熱心に話を聞く参加者の皆さん

森: ようするに、天候や各家庭での電気の使われ方まで考えて需給バランスを調整してくれるということでしょうか?
荻本: はい。それを実現するためには、使用料金の面からも工夫する必要があります。アメリカでは、今でも時期によって10倍も電気料金に差がついています。しかし、たとえメーターがついていて「今から10倍の価格になる」と表示がされたとしても、実際には人は、それでいちいち電気の利用を変えたりしないのが実態です。けれどもそれが自分の好みの設定により自動的に切り替えられるようになると話は別です。使用料金も加味したエネルギーの利用管理ができるようになる訳です。
森: なるほど。ところで今はまだ各家庭に蓄電池は普及してないですよね。このエネルギーマネージメントコントローラーを実際に使っている事例はあるんですか?
荻本: いえ、ないですね。今は蓄電池そのものが高いですから。
森: では、図2に書いてあることは?
荻本: まだ構想の段階です。
森: 今は構想だけど、これだけ話題になっているっていうことは、ものすごい勢いで電機業界がそう動いているとか?

分かりにくい「スマートグリッド」。はたしてその実態は・・・
分かりにくい「スマートグリッド」。はたしてその実態は・・・
分かりにくい「スマートグリッド」。はたしてその実態は・・・

H2G文書におけるエネルギーマネジメント装置
H2G文書におけるエネルギーマネジメント装置

荻本: そのとおりです。原理は分かったのですが、それで動く家電がない。それに情報を与えるエネルギーマネジメント装置もない。そこにどういった機能をいれていけばいいのかも含め世界中で研究が始まって、開発競争が始まっているという段階です。それぞれの機械同士がどうやってやりとりをするか、どういう機能を持たせるかといった規格を作ることが先ず必要なんですね。いうなれば今の家電はUSBのつく前のパソコン。相互に情報をやりとりするための「口」を持っていないんですね。私の研究室でも、そういったものを開発するための研究を行っています。
森: エネルギーマネジメント装置と家電が相互にやりとりできるネットワークが必要ということですね。
荻本: 無線やLAN回線などのハードウェア以上に、それをつなぐための機器同士がするお話のルール、プロトコル(共通言語)が必要ですね。

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