A: ゼロ・エミッションへの取り組みは業種によって異なるが、基本的には、ゼロ・エミッションを実現するための計画を立て、その計画に基づいて工場の生産部門や事務部門が取り組む。生産部門では、設計段階から余分な廃棄物が出ないような環境配慮設計を行い、生産過程で出た排出物は再生材として有効利用したり、熱エネルギーとして再利用したりする。一方、工場の事務部門では、ゴミの分別収集や食堂からの残飯のコンポスト化などを通じて推進していく。この時、排出されたものを廃棄物ととらえるのではなく、資源として活用する取引先を見つけることが達成の成否を分ける。複数の工場をもつ企業では、ゼロ・エミッションを達成した工場をモデル工場として広げていくケースが多い。工業団地などの産業集団や、広域の行政区域が共同で取り組むことも大事だ。
A: ゼロ・エミッションは、リサイクルによる資源の有効利用にとどまらず、廃棄物処理などに伴って発生する温室効果ガスの削減にもつながる。政府が2007年5月に公表した「クールアース50」では、地球温暖化を防止するための革新的技術のひとつとして「革新的ゼロ・エミッション石炭火力発電」が紹介された。石炭をガス化してガスタービンを動かすと同時に、その排熱を利用して蒸気タービンにより発電するというものだ。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「ゼロエミッション石炭火力技術開発プロジェクト」を進めている。二酸化炭素(CO2)の回収を行っても、最新鋭の微粉炭火力と同等の発電効率を実現することを目指す。