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「淡水魚」 詳細解説

読み:
たんすいぎょ
英名:
Freshwater Fish

川や湖沼など、塩分をほとんど含まない淡水にすむ魚類のことを淡水魚という。反対に、海水にすむ魚類を海水魚という。地球上に存在する水の約97%が海水で淡水域の範囲は非常に少ないが、世界には1万種を超える淡水魚がいるといわれている。主な淡水魚として、コイ、フナ、メダカ、ナマズ、ドジョウ、タナゴ、ヤマメなどがいる。

淡水魚と海水魚との最大の違いは、生息場所に応じた体のつくりだ。淡水魚は海水魚と比べて、塩分濃度が自分の体内よりも低い淡水に生息しているため、水をあまり飲まない一方で、希薄な尿を大量に排出する必要がある。また、海水魚よりも小型の魚が多い傾向がある。淡水魚の中には、一生を淡水ですごす魚のほかに、アユやウナギ、サケなどのようにある時期にだけ海に入る魚がいる。川や湖沼と、淡水と海水が混じりあう汽水湖や内湾などとを行き来する魚も少なくない。

絶滅のおそれのある淡水魚の数が、近年増えている。環境省が2013年2月に公表した「第4次レッドリスト」によると、日本に生息する汽水・淡水魚類のうち、評価対象となった400種中の約42%に及ぶ167種が絶滅危惧種となった。内訳は、絶滅危惧1A類(CR)が69種、絶滅危惧1B類(EN)が54種、絶滅危惧2類(VU)が44種となっている。この時の調査では、それまで情報不足(DD)とされていたニホンウナギが、近年の漁獲量データに基づき絶滅危惧1B類(EN)になった。また、絶滅したと考えられていたクニマスが、野生絶滅(EW)となった。

淡水魚が減っている主な理由として、人間による開発などの自然破壊や、密漁、外来種の移入などがある。このような状況を受けて、同省は、2014年から「淡水魚保全のための検討会」を設置して淡水魚の保全方策を検討している。検討委員には大学の研究者に加えて、琵琶湖博物館の学芸員や土木研究所の上席研究員など専門家が名を連ねる。最終的に提言をまとめる予定だ。

一生をほぼ同じ水域で生息する淡水魚は、地域の生態系を代表する生物であり、その保全は生物多様性を維持していく上でも重要だ。淡水魚保全の一手法として、希少な淡水魚などの放流が各地で行われているが、地域固有の生態系に及ぼす影響は少なくないだけに十分な配慮が必要となる。日本魚類学会は、「生物多様性の保全をめざした魚類の放流ガイドライン」をまとめ、公表している。

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