A: 「名古屋・クアラルンプール補足議定書」は、生物多様性条約のカルタヘナ議定書のうち決まっていなかった「責任と救済」に関する部分を補うため、2010年10月に名古屋市で開かれたMOP5で採択された。名称のうち「名古屋」は開催地から、「クアラルンプール」はこの問題に関する交渉が始まったMOP1の開催地名から取られた。また、「補足」はカルタヘナ議定書を補足するという意味だ。補足議定書は、遺伝子組み換え生物(LMO)が輸入国の生態系へ被害を及ぼした場合に、各国政府が原因事業者を特定して原状回復や賠償を求めることや基金の創設などに関する事項を定めている。
A: 遺伝子組み換え技術の進展に伴って、世界中で多くの遺伝子組み換え生物(LMO)や遺伝子組み換え作物(GMO)がつくられている。その一方で、輸入されたLMO/GMOが自然界に放出されることで、在来の種や植物を駆逐したり、交雑したりする悪影響が心配されている。また、植物を病気に強くするために特定の遺伝子を導入した結果、人に対するアレルギー性をもってしまうことも考えられる。こうした問題に対応するため生物多様性条約に基づくカルタヘナ議定書が採択されたが、被害が発生した場合に誰が責任を負い、どのような補償や原状回復措置を行うかは決まっていなかった。このため、2010年10月に名古屋市で開かれたMOP5で「名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択され、責任と救済に関する国際的なルールが定められた。