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「名古屋・クアラルンプール補足議定書」 詳細解説

読み:
なごやくあらるんぷーるほそくぎていしょ
英名:
The Nagoya - Kuala Lumpur Supplementary Protocol on Liability and Redress to the Cartagena Protocol on Biosafety

「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」第5回締約国会議(COP-MOP5、以下「MOP5」)が、2010年10月15日まで愛知県の名古屋市で開催された。日本が議長国となったMOP5最終日の全体会合において全会一致で採択されたのが、「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済についての名古屋・クアラルンプール補足議定書(名古屋・クアラルンプール補足議定書、以下「補足議定書」)」だ。名称のうち「名古屋」は開催地から、「クアラルンプール」はカルタヘナ議定書第27条「責任と救済(「責任と修復」ともいう)」に関する交渉が始まったMOP1の開催地名(マレーシア)から取られた。「補足」は、カルタヘナ議定書を補足することを意味する。

「責任と救済」は、遺伝子組み換え生物(LMO)や遺伝子組み換え作物(GMO)の国境を越える移動によって、生物多様性遺伝資源の持続可能な利用などに悪影響や損害が生じた場合に誰が「責任」を負うか、また、どのような「救済」がなされるべきかについて定めるものだ。しかし、LMO/GMOの輸出入や利用は多くの国や企業が利害関係をもち、議定書ができた当時から法的拘束力をもつ文書にするか拘束力がないガイドラインにするかで意見が分かれ、条文の中味も定まっていなかった。その後、2008年にドイツのボンで開催されたMOP4で法的拘束力のある文書とするための作業を進めることで合意が得られ、2010年2月に再びクアラルンプールで行われた会合を経てMOP5で採択された。

MOP5では、補足議定書のうち合意されていなかった財政面での保障や「産品」に関する規定についての議論が行われた。その結果、LMO/GMOが輸出先の国で生態系への被害を与えた場合の原状回復や賠償など補償に関するルールが定められた。補足議定書の採択により、LMO/GMOが輸入国で在来種を駆逐したり交雑したりして現地の生態系へ被害を与えた場合は、各国の政府が製造・輸出入事業者を特定して原状回復や賠償を求めることができるようになる。また、政府が事業者などに代わって執行する場合や、基金の創設などに関する規定もある。

補足議定書は、最低でも40カ国・地域が批准してから90日後に発効する。MOP5の議長国である日本は、早々に調印・批准すると見込まれている。一方、MOP5への提言活動を行っている「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(MOP5市民ネット)」は声明を公表し、採択を評価した上で、現行のカルタヘナ法では十分な規制を行えないと指摘。同法の改正による法整備を求めている。

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