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「ゲリラ豪雨」 詳細解説

読み:
げりらごうう
英名:
Guerrilla Rain

地球の水循環を考える上で、雨は飲み水や農業・工業用水に用いられる淡水の源であり、人間が生きていく上で欠かせない大切な資源だ。しかし、強く激しく降る雨は時に水害などを引き起こし、私たちの社会に大きな被害を与えることもある。なかでも、夕立のような激しい雨が狭い範囲に降る「集中豪雨」による被害が各地で起きている。集中豪雨は活発化した積乱雲(雷雲)によりもたらされるもので、気象庁がスーパーコンピューターによる数値予報や、気象衛星・レーダー・アメダスなどによる常時監視体制を整えており、発生予測に基づく大雨警報の発表などが可能となっている。

一方で、近年大きな問題となっているのが局地的大雨、通称「ゲリラ豪雨」だ。ゲリラ豪雨は活発化した雷雲が原因で、狭い範囲に激しく降る点などは集中豪雨と同じだが、急に激しく降り、数十分程度の短時間で数十mmという驚くべき雨量をもたらす点が異なる。とくに大気の状態が不安定な時に発生しやすく、急速に発達した雷雲が短時間に強い雨を降らせる。ゲリラ豪雨には、主に次のような特長がある。1) 局地的であるためレーダーによる発生の把握や予測が難しい、2) 中小河川や側溝、マンホール、用水路など身近なところで被害が発生する、3) 数十分程度の短時間で危険な状態に達する、4) 避難する時間的な余裕がほとんどない。

このようなゲリラ豪雨による被害をもっとも受けやすいのが、多くの人が生活する都市部だ。道路がアスファルトで舗装され、コンクリートでできたビルなどの建築物が密集する大都市でゲリラ豪雨が降ると、排水処理の限界を超える量の雨水が一気に下水道へ流れ込み、あふれ出た雨水による市街地における建物の浸水や、道路の冠水などの被害が発生する。たとえば、2008 年7月に兵庫県神戸市灘区で起きたゲリラ豪雨では、都賀川内の親水公園で遊んでいた子どもなどが流されて5人が死亡した。また、愛知県岡崎市や東京都豊島区でも、ゲリラ豪雨に伴う河川の増水によって多くの人命が失われた。

ゲリラ豪雨に対応するため、(独法)防災科学技術研究所などが、マルチパラメーターレーダーシステム(MPレーダーシステム)を用いた監視・予測技術の研究開発を進めている。従来のレーダーではとらえられなかった降雨でも詳細かつリアルタイムで観測することが可能で、ゲリラ豪雨による河川の水位上昇やはんらんなどの危険度を予測する精度が高い。これを受けて国土交通省では同システムを三大都市圏などに整備し、2010年から試験運用を開始。7月からは降雨観測情報の一般配信を開始した。

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