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「自然環境保全法」 詳細解説

読み:
しぜんかんきょうほぜんほう
英名:
Nature Conservation Law

わが国では、第2次世界大戦後の高度経済成長に伴い都市化と工業化が急速に進み、自然環境の破壊は公害の発生とともに大きな社会問題となった。自然環境を守るための法律としては、昭和32年にできた自然公園法などがあったが、国立・国定公園以外の場所で自然環境を積極的に守るための制度がなかった。このため、北海道や長野県など多くの地方自治体が自然保護条例をつくって保護すべき地域を指定し、開発などの行為を独自に規制するようになった。

こうした動きを受けて、環境庁が発足した翌年の1972年にできたのが自然環境保全法だ。1973年に施行され、本法に基づく自然環境保全基本方針が閣議決定された。最大の特長は、環境大臣が自然環境を保全すべき地域を指定し、一定の行為を規制する地域指定制度を採用したことだ。とくに、人の活動の影響を受けることなく原生の状態を維持している「原生自然環境保全地域」では、立入制限地区へ入ることや、開発行為などが原則として禁止される。原生自然環境保全地域としては、2008年4月現在で屋久島など5地域が指定されている。

また、すぐれた自然環境を維持する高山や天然林、河川・湖沼・海岸・湿原・海域などの「自然環境保全地域」では、許可なく開発行為などを行うことはできない。自然環境保全地域としては、同じく10地域が指定されている。これらの地域内における行為制限に違反した場合は、最大で100万円の罰金が科せられる(原生自然環境保全地域の場合)。さらに、自然環境保全地域に近い水準で自然環境を維持している地域については、都道府県が条例により「都道府県自然環境保全地域」として指定することができる。

近年、生物多様性の保全と生態系サービスの持続可能な利用が、自然環境を保全する上で重要なテーマとなり、わが国でも第3次生物多様性国家戦略生物多様性基本法ができた。これに伴い2009年3月に本法が自然公園法とともに改正され、法の目的に生物多様性の確保が明記された。また、生態系維持回復事業の創設や、海域における自然環境保全施策の充実、自然環境保全地域における行為規制の追加などが行われ、罰金の最高額も引き上げられた。改正法は、関連の政省令とともに2010年4月1日に施行された。

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