A: 自然環境保全法は、わが国の豊かな自然環境を開発から守るために、1972年につくられ翌1973年に施行された法律だ。その第1条は、自然環境を保全することが必要な区域を守り、生物多様性の確保を図ることによって、自然環境の恩恵を国民が受けられるようにするとともに、将来に引き継いでいくことを本法の目的としている。生物多様性の確保は、2009年の法改正により目的に追加された。同改正法は、同時に改正された自然公園法とともに2010年4月に施行され、次の点が強化・拡充された。1) 海中特別地区を「海域特別地区」にし、海域における保全施策を充実、2) 自然環境保全地域における生態系の維持と回復を図るため、「生態系維持回復事業」を創設、3) 同地域における行為規制に木竹の損傷などを追加、4) 罰金の最高額を引き上げ。
A: 自然環境保全法は、人の活動の影響を受けることなく原生の状態を維持している「原生自然環境保全地域」において立入制限地区へ入ることや、開発行為などを原則として禁止している。原生自然環境保全地域としては、2008年4月現在で次の5地域(合計5631ha)が指定されている。1) 遠音別岳(北海道)、2) 十勝川源流部(北海道)、3) 南硫黄島(東京都)、4) 大井川源流部(静岡県)、5) 屋久島(鹿児島県)。このうち南硫黄島については、全域への立ち入りが禁止されている。