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「打ち水」 詳細解説

読み:
うちみず

クーラーもなかった江戸時代、夏の暑さをしのぐために、庭や道路に水をまく「打ち水」が盛んに行われていた。まいた水が蒸発するときに、地表面の熱を奪うため周囲の気温が下がるのだ。また、道路などの埃を抑える効果もある。

この古くからの日本の暮らしの知恵を市民がみんなで復活させ、ヒートアイランド化が進む都市の温度を下げようという試みが「打ち水大作戦」。NPO第3回世界水フォーラム事務局が音頭をとり、国土交通省環境省、東京都などが後援して、2003年8月25日に第1回の「大江戸打ち水大作戦」が東京都江東区、墨田区、中央区、新宿区内の4カ所で行われた。「江戸の知恵に学べ」を旗印に、NPOを中心に「みんなの手で東京の気温を2℃下げよう」と、ホームページ、ラジオ、テレビなどで広報活動を行い、100万人の参加者を目標に呼びかけたところ、事務局の推定で東京23区内で約34万人が参加した。

2004年の「打ち水大作戦」は8月18日〜25日の間、全国各地で行われ、事務局の発表によると、全国で約329万人〜873万人(都内23区で約32〜87万人)が参加した。打ち水による気温低下の効果としては、2004年度は、墨田区東向島では1.8℃、事務局が計測した各イベント会場の平均は0.9℃下がったという。2005年には、7月20日〜8月31日の間に全国各地で開催。事務局発表で、全国で推定770万人(都内23区で約71〜134万人)が参加した。また、インターネット調査の結果、打ち水大作戦の認知度は51.4%と半数を超えた。

では、打ち水をすることによって都市全体ではどんな効果があるのだろうか? ある試算によると、23 区内の約40 %の約265平方キロメートルで打ち水を行うとしてシミュレーションすると、打ち水後の気温低下量は2 〜2.5 ℃程度になるという(水工学論文集第48巻「打ち水の効果に関する社会実験と数値計算を用いた検証」2004 年2 月)。ただし、気象条件や土地利用状況などさまざまなため一概には言えない。

2003年から始まった「打ち水大作戦」は、真夏の気温を下げるという効果の他に、気軽に楽しく参加できることで、環境問題に対する意識啓発、ライフスタイル、伝統文化の見直しの機会となったり、コミュニティーがいっしょになって取り組むことで、地域から環境活動を広げていくきっかけづくりにもなっており。持続的なムーブメントとして定着することが期待される。

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