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「IPCC第5次評価報告書」 詳細解説

読み:
あいぴーしーしーだいごじひょうかほうこくしょ
英名:
The Fifth IPCC Assessment Report “Climate Change 2014”

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change、気候変動に関する政府間パネル)は、気候変動や地球温暖化に関する議論を行う科学者の集まりだ。世界中の科学者が自由な立場で参加し、地球温暖化など人間活動により引き起こされる気候変動のリスクに関して、科学的な知見をもとに検証し、各国政府に助言を行っている。IPCCが5年ごとに成果をまとめる「評価報告書」は、気候変動枠組条約(UNFCCC)など、気候変動や地球温暖化に関する国際的な議論の基礎資料となっている。

IPCC は1990年の第1次評価報告書以来、1995年(第2次)、2001年(第3次)、2007年(第4次)に報告書を公表してきた。そのIPCCが2014年10月にデンマーク・コペンハーゲンで開いた第40回総会で採択したのが、「IPCC第5次評価報告書統合報告書」だ。IPCCには3つの作業部会がある。自然科学的な根拠をもとに気候システムと気候変動に関する科学的知見を評価する「第1作業部会」、気候変動に対する社会経済システムや生態系の脆弱性・気候変動の影響・適応策を評価する「第2作業部会」、温室効果ガスの排出抑制と気候変動の緩和策などを評価する「第3作業部会」だ。

第5次評価報告書統合報告書は、これら3部会が2013年9月から2014年4月にかけて公表した報告書をまとめたものだ。新たに開発した気候変動予測シナリオの「代表的濃度パス」(RCP)に基づき、気候の予測や影響評価などを行っている点が最大の特長だ。地球温暖化を引き起こす放射強制力の上昇に対して大気中の温室効果ガス濃度が与える影響の大きさをもとに、排出量が最も多い「RCP8.5」から順に、「RCP6.0」、「RCP4.5」、最も少ない「RCP2.6」の4シナリオを示している。

第5次評価報告書は、気候システムに対する人間の影響は明瞭であり、人為起源による近年の温室効果ガス排出量が史上最高となっていると指摘している。その上で、将来排出量が最も多いRCP8.5では、今世紀末に最大で気温が4.8度、海面が82cm上昇すると警告している。そして、このような温暖化による生態系と社会への影響を軽減するには、適応策に力を入れることが重要であると提言している。また、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えるには、2050年時点の温室効果ガス排出量を2010年比で40~70%減らす必要があると指摘している。

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