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「緩和」 詳細解説

読み:
かんわ
英名:
Mitigation

地球温暖化の要因が、大気中の二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの増加であることはほぼ疑いない。石炭や石油など化石燃料の燃焼に伴い発生する大気中のCO2濃度は、急速な工業化の進展により、産業革命以降に約4割増加したといわれている。エネルギー消費量の増大や人口増加なども温暖化の進行を加速している。温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を、直接的な取り組みによって削減する対策を「緩和」という。代表的な緩和策としては、省エネルギーや節電の推進、再生可能エネルギーやエコカーなど新技術の普及拡大、森林吸収源の増加などがある。

省エネに関しては、日本では省エネ法が、工場、輸送、建築物及び機械器具について、省エネに取り組むべき事業者や対象となる機器、目標値などを定めている。とくに、販売されている最高水準の機器に合わせて省エネ基準を設定する「トップランナー方式」は、優れたエネルギー政策として国際的にも高く評価されている。省エネ法は2013年の改正により、創エネや節電に関する規定が盛り込まれるなど、進化を続けている。

政府は、2014年4月に閣議決定された第4次エネルギー基本計画で、産業界及び家庭における省エネの強化、デマンドレスポンスの活用などに重点を置く方針を示した。一方、一次エネルギーにおける再エネの導入拡大も、CO2の排出抑制を進める緩和策として重要だ。エネルギー基本計画は、数値目標こそ提示していないが、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどエネルギーごとの取り組みを強化するとしている。また、分散型エネルギーシステム導入の必要性をあげている

森林吸収源に関しては、日本には2500万haもの森林があり、膨大なCO2の吸収能力を有している。2012年度の京都議定書に基づく吸収源活動の排出及び吸収量は、約5280万tに及ぶ。日本の温室効果ガス排出量は、森林吸収源対策を除けば、京都議定書の基準年に比べて2008年から2012年度の5カ年の平均で1.4%増加している。このことからも、森林吸収源の増加が重要な緩和策であることがわかる。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2014年4月に第5次評価報告書の第3作業部会報告書(緩和策)を公表した。同報告書は、省エネを進めることで再エネなどの供給比率を2010年時点に比べて3倍から4倍に増やすことや、CO2の回収・貯留(CCS)を伴う化石燃料などの利用拡大などを提言している。一方、緩和の努力をしても避けられない影響を軽減する対策が「適応」だ」。IPCCは、温暖化の進行を防ぐために緩和と適応を同時に進めていくことが重要であると強調している。

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