サイト内
ウェブ

「バーゼル法」 詳細解説

読み:
ばーぜるほう
英名:
Law for the Control of Export, Import & Others of Specified Hazardous Wastes and other Wastes

国際貿易の進展に伴い、有害な廃棄物の国境を越えた移動が1970年代から盛んに行われるようになった。とくに欧州の先進国からアフリカなどの開発途上国に持ち込まれた有害な廃棄物による環境汚染が起きて、国際的な問題に発展した。このため、OECD(経済協力開発機構)と国連環境計画(UNEP)などが音頭を取って、1989年にスイスのバーゼルで有害廃棄物の越境移動に関する国際的なルールである「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」が採択された。

これを受けて日本は同年に「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」、いわゆるバーゼル法を制定し、翌1993年の同条約への加入に合わせて施行した。この法律は、国内における条約の実施を確保するため、特定有害廃棄物などの輸出入と運搬、処分などを規制している。特定有害廃棄物とは同条約により指定された廃棄物のことで、使用済み鉛バッテリー、廃ペットボトル、中古自動車部品、金属スクラップ、廃タイヤ、使用済み家電製品、使用済みブラウン管テレビ、廃農業用ビニールシート、廃トランスなどがある。

特定有害廃棄物に該当する貨物を輸出入する場合は、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく承認申請が必要となる。一方、廃棄物処理法で定める廃棄物に該当する貨物を輸出入する場合にも、同法に基づく環境大臣の確認または許可と外為法に基づく承認申請が必要となる。このため、経済産業省環境省は、輸出入する貨物がバーゼル法で定める特定有害廃棄物と、廃棄物処理法で定める廃棄物のどちらに該当するかについての事前相談を受け付けている。

環境省によると、2011年内に本法の手続きを経て日本から輸出された特定有害廃棄物の量は8万8211トンに及び、輸出された品目は使用済み鉛バッテリー、鉛・亜鉛・亜鉛銅灰、錫鉛くず、電池スクラップなどで、輸出先の国は韓国、ベルギー、米国、シンガポールだった。反対に輸入された特定有害廃棄物の量は5300トンで、品目は電子部品スクラップ、プリント基板くず、金属くず、電池スクラップなどで、輸入元の国はフィリピン、香港、台湾、タイ、シンガポールだった。輸出入はいずれも金属回収を目的として行われた。

本法には罰則がある。人の健康と生活環境への被害を防止するため、経産相と環境相は特定有害廃棄物の輸出入が適正に行われない場合には、輸出入を行う事業者に対して措置命令を発し、これに違反すると3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらが併科される。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。