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「ウィーン条約」 詳細解説

読み:
うぃーんじょうやく
英名:
Vienna Convention for the Protection of the Ozone Layer

太陽から地球に降りそそぐ光には有害な紫外線が含まれており、地球を取り巻くオゾン層がその大部分を吸収している。しかし、冷蔵庫の冷媒などさまざまな用途に使われてきたフロンなどが大気中に放出されて成層圏に達すると、オゾン層を破壊することがわかった。オゾン層が破壊されて地上に届く紫外線の量が増えると、視覚障害を引き起こしたり皮膚がんの発生率が増加したりする。また、カエルなどの両生類をはじめとする自然界への影響も心配されている。

オゾン層の破壊による人体と環境への影響を食い止めるため、「オゾン層の保護のためのウィーン条約(ウィーン条約)」が1985年に採択された。ウィーン条約は、国際社会が協力してオゾン層を保護していくための基本的な枠組みを定めている。締約国には、オゾン層の変化によって生ずる悪影響から、人の健康と環境を保護するための措置を取ることが求められる。また、オゾン層を保護するための研究や組織的観測などへの協力や、法律、科学、技術などに関する情報を交換することも求められる。ウィーン条約には2009年1月現在で193カ国とECが加入。日本は1988年にオゾン層保護法を施行して加入した。条約事務局はナイロビのUNEP(国連環境計画)に設置され、締約国会議は3年に1回開催される。

1987年には、ウィーン条約の下で「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(モントリオール議定書)」が採択された。オゾン層を破壊するおそれのあるフロンなどの物質を特定して、その物質の生産や消費、輸出入などを規制するためのもので、主に次のような規制を定めている。1) オゾン層破壊物質の全廃スケジュール、2) 条約を締約していない国との貿易に関する規制、3) 規制措置の評価と再検討、その他。同議定書によって、CFC(クロロフルオロカーボン)のうちオゾン層を破壊する力の強い特定フロンのフロン11、12などが、1996年までに全廃されることが定められた。その後もオゾン層の破壊は深刻化しているため規制が強化された。

一方、CFCの代わりに用いられるようになったHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)やHFC(ハイドロフルオロカーボン)などの代替フロンは、オゾン層を破壊するのに加えて地球温暖化物質として温室効果を進めることがわかった。このため、先進国では2020年に、途上国では2040年にHCFCの生産が全廃されることになっている。最近の動きとしては、2008年11月にカタールのドーハでウィーン条約締約国会議第8回締約国会議(COP8)と、モントリオール議定書第20回締約国会合(MOP20)が同時に開催された。今後の問題として、すでに回収されたが破壊されずに放置されているフロンなどの処理などがある。

本条約以外に「ウィーン条約」と呼ばれるものに、条約法に関する条約、外交関連の条約、国際的な物品売買に関する条約などがある。

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