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「EU」 詳細解説

英名:
European Union environment policy

EU(欧州連合)は、経済的な統合体のEC(欧州共同体)から発展し、1992年の欧州連合条約(マーストリヒト条約)発効により創設された政治・経済統合体だ。加盟国は2011年2月現在で27カ国。人口約4.99億人(2009年)、国内総生産(GDP)は12兆5061億ユーロ(2008年)に上る。本部はベルギーのブリュッセルにある。EUは、民主的に選ばれた欧州議会と加盟国を代表する閣僚から成るEU理事会(閣僚理事会)、元首・政府首脳から成る欧州理事会、共同体法を提案し実施する欧州委員会、共同体法遵守を図る欧州裁判所、会計監査院―などにより運営されている。

EUは環境政策にも積極的に取り組んでいる。環境政策を担当するのは、EUを運営する機関の1つである欧州委員会の政策部門に置かれた環境総局だ。政策決定過程は、欧州委員会が提出した法案を、閣僚理事会と欧州議会が別々に審議する。法案を審議、採択する最終決定権は閣僚理事会にある。欧州議会が提案した修正案に対して閣僚理事会が反対した場合、調停委員会が開催され、そこで合意を受けて初めて法案は採択される。採択された法案は、規則や指令、決定などの形式をとって、EUの諸機関や加盟国政府及びその国民を拘束する。

EUの環境政策の基礎に置かれているのが環境行動計画だ。環境行動計画は、EUの環境法の基本大網となるもので、現在は2012年までの第6次環境行動計画が、気候変動、自然と生物多様性、環境と健康、資源の持続可能な利用と廃棄物管理―の4つの優先分野を軸に進められている。これらの重点分野に基づき、次の7つのテーマが置かれている。1) 欧州クリーンエア計画(CAFE)、2) 土地保全、3) 農薬の持続可能な利用、4) 海洋環境の保全、5) 廃棄物の抑制とリサイクル、6) 自然資源の持続可能な利用、7) 都市環境(グリーン都市)。

個別の分野をみると、気候変動について、欧州委員会の主導による欧州気候変動計画の下、各加盟国の国内対策を補う形で温室効果ガスを削減するための規制と対策を講じている。京都議定書に合意した1997年の時点で、15の加盟国が基準年比で2012年までに温室効果ガスを平均8%削減すると約束した。加盟国はこの誓約に基づいて、国別の排出削減目標を設定している。また、2005年には世界に先駆けて排出量取引制度(EU ETS)が導入された。欧州委員会の年次レポートによると、EUは議定書の目標を前倒しして達成できる見通しだ。

EUはこのほかにも、化学物質の登録・評価・認可・制限などに関するREACH規則や、環境配慮設計を進めるEuP(エコデザイン)指令、電気・電子機器廃棄物の処理問題に対応するためのRoHS指令、電気・電子機器廃棄物に関するWEEE指令などを施行している。また、生物多様性を保全するための行動計画や、再生可能エネルギーの導入拡大を図るための目標などを定めている。EUのこうした先進的な環境政策は、域内だけでなく日本をはじめとする他の国や地域にも影響を与えている。

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