環境調査などで指標とすることができる生物のこと。生物は、それぞれの生態に好適な環境を選択して生息している。その中でも限られた環境でのみ生息することができ、かつ、環境変化に敏感で影響を受けやすい生物の分布状況などを観察することによって、環境の汚染度を調査することができる。環境省と国土交通省は、河川に生息するサワガニ、カワゲラなどの水生生物を指標として水質を判定する全国水生生物調査を1984年から実施している。指標生物には、全国各地に広く分布し、分類が容易で、水質に係る指標性が高い30種が指定されている。2007年度の調査には全国から約7万5000人が参加し、全国3489地点で河川の水生生物の調査による水質の判定が行われ、全体の60%が「きれいな水」と判定された。また、環境省は、住んでいる地域の周辺にある身近な自然を全国一律かつ一斉に調査する環境指標種調査(身近な生きもの調査)を、1984年から2001年までに4回実施している。自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)の一環だ。数少ない専門研究者だけでは困難な多数の情報を収集することや、調査を通じて国民の身近な自然への関心を高め、その保全の必要性などについての理解を深めることが主な目的だ。