
上七軒は、京都にある五つの花街のひとつ。そのなかで最も古い歴史があります。
風情ある町をそぞろ歩くだけでもいいけれど、夏は歌舞練場でビアガーデンが開かれる特別な季節。8月上旬には北野天満宮で夜間拝観も催されます。芸舞妓さんと言葉をかわしたり、ライトアップされた幻想的な境内を散歩したり、夜の上七軒を体験できるまたとない機会です。
北野天満宮からはじまる、はんなり花街さんぽへ出かけてみませんか?
北野天満宮に隣接し、市内のどこからでもアクセスしやすい上七軒。通りには、伝統的なお茶屋、料亭、和菓子店が並ぶ一方で、洋食や洋スイーツの店も点在します。前編では、気軽に入れる町家カフェや雑貨屋さんに立ち寄りました。
後編では、町の中心となる北野天満宮や歌舞練場へ。七夕ライトアップやビアガーデンなど
夏の宵を涼やかに過ごせる行事をご紹介します。
「北野天満宮」は全国に約12000 社ある天満宮の総本社。地元では天神さんと呼ばれ親しまれています。御祭神にゆかりの深い梅の季節や、受験シーズン前にお参りすることが多いですが、緑に包まれる夏には多彩な行事が催されます。
涼やかな表情を見せる初夏の青もみじ(本年度のもみじ苑公開は終了)や、暑さが盛りを迎える8月上旬の夜間拝観など季節ならではの見どころも多いです。境内のライトアップや、無病息災を願う御手洗川の足つけ神事、ふだんは足を踏み入れることのできない国宝御本殿の特別公開など盛りだくさんの内容で参拝者を迎えてくれますよ。
日本のカステラ作りを学んだリスボンの菓子職人パウロさんが、奥様の故郷である日本へポルトガル菓子を伝えるために開いたカフェ「Castella do Paulo(カステラ ド パウロ)」。カステラとその原型とされるパォンデローを一緒に味わえるのが一番のポイントです。
こちらは夏季限定の「アイスクリームプレート」。その日のパォンデローとカステラ、自家製アイスクリームのセットです。カステラは京都美山の卵を贅沢に使った、きめが細かいしっとりタイプ。
定番と季節替わりのプリンで常時10種以上がそろう「北野プリン」にも立ち寄ってみましょう。ボトルに入ったプリンがずらりと並ぶ様子は、見ているだけで楽しい気分に。
一番人気の「春告プリン」は、桜とさくらんぼが浮かぶ梅のジュレをクラッシュし、ミルクプリンと混ぜて味わうのがおすすめだそう。夏は、マンゴーやシャインマスカットを使ったフレーバーも登場しています。
京都の夏の風物詩のひとつ、上七軒のビアガーデンの会場となるのが「上七軒歌舞練場」。ここは、舞妓さんたちが初舞台を踏む場であり、その後も春と秋のをどりの会で、日々のお稽古の成果を発表する大切な場所だそう。
歌舞練場内では、まずたいこ橋を渡ってビアガーデンの会場へ向かいましょう。テーブルには浴衣姿の芸舞妓さんが来てくれて、一層華やいだ雰囲気に。芸舞妓さんと談笑したり、涼しげな日本庭園を眺めたり、夢のような夏の宵を楽しんで。
芸舞妓さんから名刺にあたる「千社札」を受け取ると、福が舞い込むといわれていますよ。(保護者同伴を含め未成年者は入場不可)
町のシンボルでもある上七軒歌舞練場へのアクセスは、御前通からと上七軒通からの2通り。「御前」というのは、北野天満宮または御祭神である菅原道真公の前に通じる道という意味です。上七軒通から細い路地に入り耳をすますと、三味線の音が聴こえてくることもありますよ。