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職人が目の前でつくる和菓子のコースがいただける、ならまちの「萬御菓子誂處 樫舎」

  • 2022年9月12日
  • ことりっぷ


近鉄奈良駅から徒歩10分、和菓子の人気店「萬御菓子誂處 樫舎(よろづおんかしあつらえどころ かしや)」。素材の持ち味を大切にした和菓子を販売するほか、店内で抹茶や生菓子、夏季はかき氷などがいただけます。まためずらしいのが和菓子のコース。和菓子職人である店主の喜多誠一郎さんが目の前で干菓子、上生菓子、最中などをつくり、相性のいいドリンクとともに提案してもらえ、他にはないおもてなしが受けられます。
ならまちと称される観光エリアにある「萬御菓子誂處 樫舎」。近鉄奈良駅から商店街・もちいどのセンター街、下御門商店街を抜け、ならまち大通りに面した場所にあります。
老舗の風格が漂う佇まいですが、創業は2008年。現店主・喜多誠一郎さんが立ち上げたお店です。
長屋を改装したという店内は、手前に土間があり、喫茶を利用するには靴を脱いで小上がりへ。昔ながらの階段箪笥を上がると2階にも客席があります。
1階奥にはカウンターがあり、和菓子のコースを予約すれば、こちらの席に案内されます。
「職人は素材を吸水、加熱、加糖するだけで、味自体はつくれない。だから和菓子は素材が命なんです」と語る喜多さんが「特別な産地から仕入れた最高の素材を最高な状態で味わって欲しい」と考案したのが、和菓子のコース(3300円/要予約)。和菓子がつくられる様子を目の当たりにしながら、つくりたての和菓子を堪能できます。
和菓子のコース1品目は干菓子と番茶。干菓子に使うきな粉は、喜多さんが厳選した滋賀県産の青大豆を使います。きな粉は遠赤外線で炒って水分を飛ばすと、豆から出る油分でしっとりした状態に。そこに少し葛粉を混ぜ、蜜蝋で仕上げた木型で打ちます。
つくりたての干菓子は、お供え物でよく見かける干菓子の一種・落雁とは違い、やわらかい口どけ。つなぎになるものは入れず、木型に打ち粉もしていないため、きな粉の香ばしさが口いっぱいに広がります。
2品目は季節の上生菓子とお抹茶。内容は都度変わりますが、写真は千代見草という菊の異名を名付けられた練切。素材は備中の白小豆と青森県産の3年ねかせたつくね芋です。薄紅色の餡を濃い紅色で包んでから筋を入れると、中の薄紅色がうっすら浮かんできます。このような繊細な職人技を目の当たりにできるのも、和菓子のコースの醍醐味です。
3品目も和菓子は上生菓子。あわせるドリンクは日本茶ではなくスペシャルティコーヒーというのが新鮮です。秋に登場予定の栗きんとんは、熊本県産の利平栗と丹波大納言小豆でつくります。栗きんとんの上品でまろやかな甘さは、爽やかな酸味と力強い甘みを持つケニアのスペシャルティコーヒーとよく合います。
締めは最中とほうじ茶。近江羽二重でつくる最中の皮は、つくりたてでしか味わえないサクサク感に感動します。
夏季限定のかき氷は、数日間かけてつくった純氷をかき、自家製の抹茶蜜をかけ、丹波大納言のつぶあん、白玉、寒天を加えたもの。通常のものとわらび餅入りの2種があり、わらび餅は南九州産の本わらび粉を使用。わらびのでんぷんを壊さないように丁寧に練り上げると、氷のなかでもモチモチ感が保たれているといい、その食感のやわらかさに驚きます。
器は塗師・たる井氏が手がけた奈良漆器・合鹿椀(ごうろくわん)。この碗との出会いがきっかけでかき氷を作ったというだけあって、かき氷の佇まいが凛と美しいのもうなずけます。かき氷は予約なしでいただけますが、客席は混みがちなので予約がベターです。
喜多さんが「日本一」だと太鼓判を押す素材でつくる和菓子をこだわりの器でいただける和菓子のコース。最初は少し背筋が伸びる緊張感があっても、喜多さんのおもてなしに、少しずつ気持ちがほぐれます。風情ある空間で、じっくり和菓子と向き合う時間を楽しんでみてくださいね。

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