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海野和男のデジタル昆虫記

連載「日本昆虫記」35 コブハサミムシの母性愛

連載「日本昆虫記」35 コブハサミムシの母性愛
2010年05月09日


 2月から3月にかけて、河原の石を起こすとコブハサミムシが見つかることがあります。たいていは黄色の小さな卵がたくさんあって、石をどけると、大あわてで卵を隠そうとします。コブハサミムシの母親は2月に卵を産み、卵が孵化するまで卵のそばに寄り添って、世話をするのです。
 飼育して観察すると、卵が汚れれば丹念に表面を舐め、時々卵を並べ替えたりします。湿った場所にいるので卵にカビが生えたりしないように世話をしているのです。外敵のアリが来たりすると、母親はおしりのハサミを振り回して追い払います。
 やがて卵からは真っ白なガラス細工のような小さなハサミムシが生まれてきます。全部の幼虫が孵化するには一日ぐらいかかります。孵化した幼虫は1日経つと親と同じように黒っぽくなります。それでもまだ母親はその場ににとどまっています。
 そのうち、幼虫が母親の背中に上りはじめます。足に噛みつくものもいます。母親はちょっといやがる様子をしますが、逃げ出すことはありません。やがて、たくさんの幼虫が母親に群がって、ついには食べてしまうのです。卵を守りきった母親は死んでしまうのですが、自ら子どもたちの餌に身を捧げるのです。
 
コブハサミムシは体長2cmぐらいで日本各地で見られる。写真は母親が卵を守っているところ。ふ化した幼虫を世話するメス(下)。

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