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海野和男のデジタル昆虫記

連載「日本昆虫記」34 成虫で冬を越すチョウ

連載「日本昆虫記」34 成虫で冬を越すチョウ
2010年05月08日


 秋には活発に活動していたチョウたちも、冬がくると、姿を見せなくなってしまいます。いったいどこに行ってしまったのでしょうか。チョウはナミアゲハのように蛹で冬を越すもの。オオムラサキのように幼虫で冬を越すもの、ミドリシジミのように卵で冬を越すもの、そして今回紹介するキチョウやキタテハのように成虫で冬を越すものがいます。
 冬越しをしている成虫のチョウを発見するのは容易なことではありません。昨日炉に潜り込んだり、枯れ草の間に潜り込んだりするので、なかなか見つけることができません。その中で、比較的見つけやすいのがキチョウやキタテハです。フィールドにしている長野県の小諸で、ほぼ毎年キチョウとキタテハの越冬する場所を見つけました。そこは谷間の小さな田んぼの横の崖です。この崖からは水がしみ出していて湿り気があります。冬の小諸は乾燥が厳しいので、湿り気のある場所を選んだのでしょう。
 毎年何匹かのキチョウとキタテハが集まります。中にはこの写真のキチョウのようによく目立つ場所にとまっている時もあります。けれど、こうした目立つ場所にと舞っているチョウは、たいてい春までに雪に押しつぶされたりして死んでしまいます。残園ながら12月に見つけたこのキチョウは春まで生きることができませんでした。同じ年に見つけた写真のキタテハは草むらの中のオオカマキリの卵のうにとまっていました。こちらは無事春まで生きて、どこかへ飛んでいったことを確認しました。
 暖かな地方では。冬でも気温が上がると飛び立って場所を変えることもありますが、厳しい寒さの長野県などでは、12月初めから2月まで3ヶ月間全く飛ぶことができないので、冬を越せないチョウも多いようです。
上はキチョウ、下はキタテハ。キチョウは寒さで結局はフユの間に死んでしまった。

小諸日記は10周年。過去の日記は5年前5月   10年前5月

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