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海野和男のデジタル昆虫記

連載「日本昆虫記」31 ウスタビガ

連載「日本昆虫記」31 ウスタビガ
2010年05月05日

 冬の雑木林で、木の枝にぶら下がった美しい緑色の繭を見かけることがあります。まわりに緑の葉がないので、とてもよく目立ちます。昔、塩やお米を入れるのに使われたカマスと呼ばれるた袋に形が似ているので、山カマスとも呼ばれます。この繭を作ったのがウスタビガの幼虫です。実は、冬に見かけるこの繭の中身は空っぽです。
 秋遅く、雑木林が色づくころ、大きな黄色いガが明かりに飛んできて驚くことがあります。ウスタビガです。北海道から九州の雑木林に住む、翅を広げると10cm近くある大きなガです。ウスタビガはこれから寒くなる秋遅くに羽化しくる変わり者です。食べるものもないこんな季節に成虫になってかわいそうにと思う人もいるかもしれません。けれどウスタビガは毎年秋にだけ成虫になるのです。羽化した成虫は何も食べず、次の世代を残すためにオスはメスを探し、メスは卵を産むことに専念します。
 ウスタビガは卵で冬を越します。冬の雑木林で見つけたウスタビガの繭に卵がついていることがあります。羽化したメスが、その場でやってきたオスと交尾し、卵を産んだのでしょう。春にふ化した幼虫は幼虫はコナラやカエデなど広葉樹の葉を食べます。幼虫に触ると、キーキーと音を出すします。はじめてこの音を聞いたときはびっくりしました。ガの幼虫が鳴くなんて知らなかったからです。7月ごろに木の枝に繭を作り中で蛹になります。冬にあれほど目立った繭も。木の葉の中ではとてもよい保護色になっています。
写真下は ウスタビガのメス  色づきはじめたコナラにとまると、あまり目立たない。上は冬の雑木林でよく目立つウスタビガの繭。繭についている黒い粒は卵

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